第315話 3人目

俺のすんでいる格安マンションにはエレベーターは無い




7階建てやら31m以上やらくらいからエレベーターの設置が義務らしいが、あいにくこのマンションは6階建てで恐らく31mは無い




そんなマンションの6階に誰が住んでいると思う? なんと、どう見ても150kgはありそうな40代くらいの大男が住んでいる




階段をのぼるごとにフーフー言ってるくらいなのに、よく6階に住む気になったものだ




男は一人暮らしらしく、他人と一緒にいる姿は見たことが無い




しかし、ここ1か月ほどその男を見ることは無かった




大抵俺が買い物に行くころに帰ってくるからよくすれ違っていたんだがな




さらに1か月たつころ、俺が買い物に行こうとしたところ、すれ違いにがりがりの男とすれ違った




俺は3階に住んでいるが、その男は俺より上の階らしいが見たことが無い。新しい住人か?




ある時、警察がマンションに来て聞き込みをしていた




「何があったんですか?」




「不法入国した外国人がここに住んでいると分かりましてね、見たことはありませんか? あ、丁度一人見つかったようなので本官はこれで」




気になって階段を見ていたら、この間見たがりがりの男が連れられて行った




後日、6階の住人に聞いたところには、精巧な大男の着ぐるみの中に何と3人も入っていたらしい




ただ、最近の暑さに耐えられなくなって一人ダウンしたためにバラけて過ごしていたところを通報されたようだ




しかし、2人は見つかったらしいが、3人目はいまだに見つかっていないらしい




それからなぜか俺は干物の夢を見るようになった


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る