第309話 シミュラクラ現象
ドカン、バキッ、ガシャン
俺は特撮のアニメの録画を見ていた
発煙筒の様な目立つ煙が爆発と共にあがり、精巧に作られた着ぐるみを着た怪物とヒーローが戦っている
ふと、背景の岩が気になった。人の顔に見える。ちょっと一時停止をおしてと
人間は、3つの点があるとそれを顔と認識するらしい
それは機械でもそうなのかなと人間の顔を認識するカメラをテレビに向けてみた
「お、顔と認識してら」
ハニワの様に黒い3つの点を顔と認識したのでカメラで撮った
ただ、デジカメの画面で見てもよく分からない程度の物だったが
そして、それを友達に見せようとカメラを持って外へ出る
「おっ、あれも顔に見える」
気になると、何でもかんでも顔に見えてきた。壁の染み、木目、鉄骨の錆びなど
いろいろと撮って友達の家に着いた
友達にデジカメの顔に見えるものシリーズを見せ、爆笑し、雑談し、そろそろ帰る時間が来た
「おい、お前……その背中はどうした?」
「どうしたって? 何もしてないが」
「ちょっとカメラを貸して見ろ、お前の背中に顔みたいな染みが付いてるから」
そう言って友人が撮ってくれた画像は、確かに顔の様にも見えるが、微妙だ
友人と別れ、家に帰り、風呂に入る
脱いだTシャツを見ると、先ほどと違って苦悶に歪んだ老人の顔がはっきりと見えた
それ以来、シミや傷などがリアルな顔に見えるようになってきた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます