第303話 鍵

俺達はワンルームマンションで同棲生活をしていた




ワンルームマンションなのは単純に金が無いからだ




しかし、金以上の価値がある彼女と一緒なら、貧乏くらい苦ではない




それから数年たち、俺達は結婚をした




結婚式は金が無くて挙げることは出来なかったが、代わりに少し高価なベッドをかった




いままで布団で寝ていたが、やはりベットの方が柔らかくて暖かい気がする




まあ、ただでさえワンルームなのにベッドのせいでなお狭くなってしまったが




代わりに、ベッドの下をタンス代わりに使用している




ある日、ベッドのシーツを干そうと思ってシーツをはがすと、何かの鍵が出てきた




おもちゃの鍵ではなく、きちんとした何かの鍵。大きさ的に少なくとも自転車の鍵では無い事は分かる




さらに、俺のものでは無いから妻のものだろうか? いや、思い当たる場所がある。マンションで使用できるロッカーの様な物置の鍵かもしれない




俺はなぜ今までこの鍵の存在を忘れていたのだろうか?




俺は鍵を持って物置へ向かう。何を入れたか全く覚えていないし、そもそも開けた記憶が無い




鍵を差し込んで回すと、予想通り鍵が開いた。そして、中にはミイラになった妻が居た




俺は理解できなくて慌てて鍵を閉め、部屋に戻りベッドにもぐりこんだ




「ただいまー」




今帰ってきた妻は一体誰なんだ?

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