第284話 テレフォンカード

「ねぇ達也、テレフォンカードって知ってる?」




「知ってるけど、今時使えるところがあるのか?」




「昨日、テレフォンカードを拾ったんだ。使うならあげるけど?」




「もらえるものは何でも貰う主義だ」




「はいっ、どうぞ。……足音が遠ざかったか」




「え? 足音?」




「ううん、何でもない。じゃあね」




咲は慌てたように走っていった。それにしても無地のテレフォンカードか。残数は50もある。1回10円だから、500円分か……思ったより安いな




俺はテレフォンカードを財布に入れる。ジリリリリ。どこかで電話が鳴っている気がする。今時着メロじゃない呼び出し音とか設定してるやつが居るのか




気が付くと、公園の電話ボックスの前に居た




「あれ? 何で俺はこんなところに?」




ふに落ちないまま帰ろうとすると、電話が鳴る。……よく見ると、電話線が繋がっていない




俺は電話を取らずに公園から出た




家に帰り、何事もなく過ごし、布団に入る




もう少しで寝れる……と言うところで財布からジリリリリと音がした




「な、なんだ?」




「出ろよ」




耳元で男の声がした

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