第279話 田舎道を歩いていると

知らない街を歩きたくて、適当に電車を降りて田舎の方へ行った




今時珍しい無人駅を下りてしばらく歩くと、庭で家庭菜園をしている結構でかい家があった




何が植えてあるのかな? と覗いてみると、スイカの実と並んで首が見えた




「うわっ!」




「驚かせてしまったかい?」




一瞬生首かと思ったが、ただのおじさんのようだ




「な、何をしているんですか?」




「見てわかるだろ?」




「埋まってるようにしか見えないんですが……」




「そのとおり、埋まっているだけだ」




じっくりみると、首元まで土で埋まっており、明らかに自分で埋まったのではなく埋められたのだろう




「大丈夫なんですか?」




「ああ、趣味だからな」




俺はそれ以上追求しないで立ち去った。埋まっているので急に襲われたりはしないだろうが、これ以上無駄な時間を使いたくなかった




「それじゃあ」




「車に気を付けてな」




案外いい人なのかもしれないと思いながら他の場所へ行く。結局大したものも無く、再びさっき埋まっていた人の家の反対側の道に出る




あれから数時間経っているが、まだ埋まっているのかと気になって庭を覗く




「うわっ!」




そのおじさんの頭は割れていた

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