第268話 罰当たり

「やっべ、もれるもれる!」




小学校の帰り道、急に腹痛が襲ってきた




運の悪いことに、学校へ戻るにも家に帰るにも丁度真ん中くらいで、400mはある




400mくらいすぐだろうと思われるかもしれないが、今は腹痛で歩く事すらきつく、間違いなくどちらかに着く前にもらす!




「もう、ここでいいや!」




この時は、どこかの家のトイレを借りるという事が全く思いつかなかった。そして、俺はあろうことか丁度あったお地蔵さんのうしろに隠れるようにしてトイレをした




「あっ、紙もねーや。これでいいか」




俺はお地蔵さんの前掛けを拝借し、尻を拭く。さすがに、そのまま戻すわけには行かないので、そっと目立たない草の中に隠した




その夜、部屋で寝ていると、何かが部屋に入ってくる気配がした




ズルッ、ドンッ、ズルッ、ドンッ




一歩一歩ゆっくりと重い物が歩いてくるような音だ




バンッと部屋の扉が開く。この音で親が起きてくれることを願ったが、起きる様子はない




それどころか、声を出すことも、動くことも出来ない。唯一首から上だけが動くようだ




そして、部屋の中にお地蔵さんを担いだ鬼が居た




そして、鬼はあろうことか、俺の胸の上にお地蔵さんを置く




(ぐぁあ)




ただでさえ声が出ないのに、息も出来ない。もう、死ぬと思った瞬間、鬼はお地蔵さんを持ち上げた




(た、助かった)




そう思ったのも束の間で、再びお地蔵さんを胸の上に置かれた




(たすけ……て)




それを数回繰り返された辺りで、俺は気を失っていた様だ




窓からの光で気が付くと、顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだった。そして、部屋の中には俺が尻を拭くのに使った前掛けが落ちていた




俺は、それを洗ってお地蔵さんに謝りに行った




今夜は寝れそうにない……

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