第269話 授業

気が付いたら学校に居た




辺りは暗く、時計を見ると丁度夜中の0時だった




キーンコーンカーンコーン……キーンコーンカーンコーン




チャイムが鳴ると同時に、椅子ががたりと音を立てる




俺は教壇の上から、何も見えない教室で、あいさつを受けたような気がした




教室は真っ暗なはずだが、俺には黒板がはっきりと見えた




そして、いつの間にか教壇に置いてあった教科書を開き、黒板に書いてゆく




教室には、ノートに書き写す鉛筆の音と、ノートをめくる音が響いた




キーンコーンカーンコーン……キーンコーンカーンコーン




0時45分に、チャイムが鳴る




椅子がずれる音がして、教室の扉が開いた




俺は何かが終わった気がして、職員室へ向かう




そして目が覚めた。その日は、母校が廃校してから10年たった日だった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る