第267話 人形屋

「いらっしゃい。ここは人形屋だよ。人形屋と言っても特殊な人形だけどね。」




特殊と言うのは?




「僕が作るのは、行方不明になった子供の人形だけさ。死体が見つからずに、いつまでたっても子供を探し続ける親のために、葬式用の人形を作るのさ。」




だから子供の人形なんですね




「ただ、ごくたまに棺桶に入れずにあまりにも我が子に似た人形をそのまま手元に持っておく人もいるのだがね、それは止めた方がいいといつも伝えている。本物の人間の髪や皮膚を使っていて……腐るからね。」




そこまでこだわっているんですね。ちなみに、その人形は?




「これかい? これが今日渡す予定の人形さ。え? まるで本物の様だって? 触ってみるかい?」




……本物の人間の様な感じなのですが




「人形屋は副業みたいなものでね、僕の本業は研究者なんだ。クローン研究所で働いているのさ。」

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