第266話 喫茶店で

おしゃれな喫茶店




内装は茶色を基調とした落ち着いた色合いで、音楽もクラシックを中心に騒がしくない音楽がチョイスされている




コーヒーはマスター自らが外国で仕入れ、ブレンドを試したという自慢の物らしく、実際においしい




この店を見つけたのは偶然であったが、それ以来よく通うようになった




そこで気が付いたことが一つ。扉を開けると、「カランカラン」と音がするのだが、たまに音がしても誰も入ってこない時がある




最初の頃は、開けただけで入店するのを止めたのかな? と思って気にしなかったが、最近その音のあとに、マスターがわざわざコーヒーを入れて奥の誰も居ない席に置くことに気が付いた




他に誰も客が居ない時にマスターに聞いてみた




「亡くなった妻がね、コーヒーを飲みに来てくれてるんだと思うよ。僕のコーヒー、好きだったからね。命日の日は必ず来るんだよ」




俺はまだこの店に着て2か月ほどだが、すでに2回は鳴ってる気がする。俺は奥さんじゃないと思ってるんだが、怖いので言わないことにしている




「カランカラン」の音さえ気にしなければ、いい店なのだ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る