第264話 峠で
小雨が降る中、トラックが峠道を走っていた
時刻はすでに0時を回り、冬に近いために辺りは真っ暗だ
「早く帰りてぇなぁ」
トラックを運転していた男は、暖房の温度を上げようとつまみを見る
温度を上げ、前を向くと白い何かが目の前に居た
キキーッ
峠道にブレーキを踏む音と同時に、ドンッという音が響いた
「やっちまった!」
男は慌てて車から降りて確認する。大きさとしては小学生低学年くらいだったが、こんな時間に子供が歩いていたとも考えにくい
男は目で車の後ろを追う。黒いタイヤ痕に赤い血が混じり、そして真っ白な……犬の死骸が横たわっていた
「なんだ、犬か」
男は人間じゃなかったことにほっとし、車に異常が無いか見た後、走り去った
次の日の昼頃、街へ行こうと再び峠に差し掛かる
「昨日の犬の死体、誰かが片付けるか、野生動物辺りが片付けておいてくれればいいんだが」
そう思いつつ事故った場所に着いた。しかし、昨日と同様に犬の死骸がそのまま横たわっている
男は、再び轢かないように少し崖側のガードレールに逸れると、犬の死骸がピクリと動き、立ち上がり、大きな口を開けて車に飛びかかってきた
「うわぁ!」
反射的に急ハンドルを左に切る。そして、ガードレールを突き破って車ごとがけ下に落ちた
道路には、タイヤ痕だけが残されていた
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