第234話 ニート
俺は今、一人部屋でパソコンで掲示板に書き込みをしている
「なあ、おまえら、一つ聞いて欲しい事があるんだが」
「なんだ?」
「情報kwsk pls」
「俺は自宅警備員をして15年ほど経つんだが」
「プロやな」
「それはいい、飯はいつも母親が部屋の前に置いて行ってくれるんだ」
「いい母親やん」
「最近気が付いたんだが、飯を食って部屋の前に出しておくと、いつの間にか片付けられている。それに、最近はいつの間に飯が置いてあるのかも分からん」
「飯できたでーとか言われんのか?」
「数年前までは言われてたが、最近は本当に部屋から出るといつの間にか飯が用意されている」
「トイレや風呂は?」
「トイレは2階にあるし、風呂は入らず2階の洗面所でタオルを濡らして拭いているだけだ」
「へー、で、タオルは誰が?」
「言われて初めて気が付いたが、タオルどころか服なんかも部屋の前に置いておくといつの間にか洗濯が終わってるようだ」
「いい母親やん。一旦様子見てきたらどうや?」
「最後に顔を見たのは数年前かもしれん。ちょっと行ってくるわ」
俺は久しぶりに1階に降りる。家には俺と母親しか居らず、父親はお金だけ振り込んできているはずだ
「おふくろ居るか?」
俺が居間に入ると、母親と思われる白骨化した遺体があった
俺はパニックになって警察に連絡するどころか、また掲示板に書き込みをした
「母親が死んでた」
「は? どういう事だ? 飯や洗濯は誰が?」
「分からん」
「ご飯が出来たよ」
俺の部屋の前に飯が置かれる音がした
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