第233話 露天風呂で

私がある旅館で働いていた時の事です




その旅館は温泉なので、いつもお湯がはってあります




掃除の為に夜間、入口に清掃中の看板をつけ、中を掃除していました




外気温が低いためか、露天風呂がゆげで見えない程です




鏡や桶の片付け、床磨きなどをしていると、露天風呂の方で人影が見えた気がしました




しかし、清掃中と看板をしてあるし、新たに人が入ってきた様子もありません




また、脱衣所にも当然浴衣や服は見当たりませんでした




湯気がそう言う風に見えたのかな? と気にしないで掃除を続けました




中の掃除が終わったので、次は露天風呂に浮かんだ葉っぱやごみを取り除こうと外へ出ました




すると、「ジャポン」と何かがお湯の中に潜るような音が聞こえました




まさか、人が居たのか? と風呂を見張りました




1分、2分と経ち、さすがに息を止めるだけでは潜っていられない時間が経ちました




石でも投げ込まれたかな? と思って掃除をしようとしたところ、風呂に長い髪の毛が浮かんでいるのが見えました




「なんだこれ?」




私が髪を掴んで持ち上げると、水中から首が・・・




すぐに警察に電話するためと、一刻も早くここから離れたい一心で飛び出しました




そして、警察に電話して来てもらい確認してもらいました




しかし、露天風呂には変わった様子は無かったようで、念のためお湯の中も漁ったそうですが、死体は見つからなかったようです




チェックアウトの様子から、誰かが自殺した事も無いようなので、あれはいったい何だったのでしょうか


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