第216話 ヘッドホン

道路工事が近くで始まり、音がうるさくて夜勤明けの俺には辛い時間帯だ





安眠のためにヘッドホンを買うことにした





最初は耳栓でもいいかと思って100均で買ってきたが、寝ているうちに耳の中に栓が入りかけて危うく取れなくなるところだったし、そもそもそんなに防音性能が高いわけでもなかったので、音楽を聴きながら寝れるようにしようと思ったのだ





最初のうちは頭が締め付けられる気がして眠りにくかったが、ソファで眠るようにしたら案外と慣れてきて、今ではヘッドホン無しでは安眠できない





工事が終わってからもずっと使い続けてきたが、家のチャイムすら余り聞こえないので、誰かが来ても分からない。まあ、そもそも出るつもりがないので問題はないが





「………………!」





ん? やけにやかましいな。道路工事の音よりでかいんじゃないか?





俺は少し音楽のボリュームを上げて目をつむった





「げほっげほっ、何が……」





目を開けると、あたりが火の海になっていた





あの声はどうやら、火事を知らせてくれていたようだ……





俺は幸いにも窓から逃げて無事だった。火災保険がおりたので今はマンションに住んでいる





すると、日中に今度は子供の走り回る音に悩まされるようになった





え? それこそヘッドホンで遮音できるんじゃないかって? 違う違う、ヘッドホンから子供の走り回る音がするんだ





そもそもこの階には俺しか住んでいないしな

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