第210話 不思議な座布団

ひいばあちゃんが亡くなったらしい





病気や事故ではなく、寝ている間にいつの間にか息を引き取っていたらしい





俺は小さい頃、ひいばあちゃんが好きだったらしく、毎日ばあちゃんの膝で寝ていたそうだ





5歳くらいの事らしいので、記憶はないが、寝ていたという感じは覚えている





しばらくして、今までひいばあちゃんが住んでいた家は、もう誰も住むことが無いので取り壊すことになったそうだ





家の整理をしていると、一つの紫色の座布団が気になった





「これって……?」





「ああ、それはあんたが小さい頃、ばあちゃんの膝で寝る時に、いつもばあちゃんが座っていた座布団だよ」





「ふーん、もらっていい?」





「いいんでないか? それは相続の対象にはならんだろうしな」





父の許しを得て俺は座布団を持ち帰った。置く場所はとりあえず仏壇のある部屋になった





ある時、家に帰ると線香の匂いがした気がして、仏間を覗いた





すると、座布団がポツンと置いてあったので、なんとなく頭を乗せた





いつの間にか寝ていたようで、親に起こされたが、すっきりと寝られた





それから、嫌なことがあったり、寝付けなかったりするときに座布団を枕にすると、すっきりと寝れるようになった





ただ、俺が起きたときに、座布団にまるで誰かが座っていたようにへこんでいる事がある

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