第206話 火事で
僕の父は消防士をしている。そんな父から聞かされた話だ
その日、民家で火災があったそうです。ニュースにもなっていますが、特定を避ける為に表記しません
父は、消防車で向かうと、近くに居た人に状況を尋ねたそうです
すると、まだ部屋の中に子供が一人取り残されているかもしれないという事でした
父は、火の手が上がる家の玄関から入ったそうですが、煙がひどく、中が見えなかったそうです
それに、これだけ火の手が上がっていれば、恐らく火元に近く、そこに居れば生存が絶望的だという事も分かりました
すると、まるで何かの導きの様に黒い煙が人一人分だけあいたそうです
そして、道案内するようにチワワが見えたと言います
父は、チワワに連れられて台所付近に行くと、そこだけ火が避けた様に風呂場が見えたそうです
チワワはそのまま風呂場へ消えたそうです
父が風呂場へ行くと、男の子が倒れていたそうです。不思議な事に火傷を負っていなかったのですが、倒れていたという事は煙は吸っているかもしれないと、慌てたそうです
すると、シャワーから水が急に出てきて、男の子と父をぬらしたそうです
父はそれで冷静になれたのか、すぐに男の子を抱いて風呂場を出ました
しかし、火の手がまわり、煙も充満していたため、どこへ行けばいいのか分からなかったそうです
その時、犬の鳴き声がしたそうです。父は藁にも縋る思いで鳴き声のした方へ向かうと、リビングの割れた窓が見え、そこから脱出したそうです
男の子は無事に救出され、父は表彰されたそうです
その家では、数年前までチワワを飼っていたそうですが、老衰で亡くなっていたそうです
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます