第192話 殺し屋

「全部あいつのせいだ、あいつのせいだ!」




俺は苛立ちを紛らわせるために、壁をドンと叩く




石でできた壁は俺のストレスを減らすどころか、増やす結果となった




「くそっ!」




俺は壁を蹴った。……自分の足が痛くない程度にな




少し冷静さが戻ってきたようだ




俺はポケットから煙草を1本出すと、火をつける




「未成年のタバコは体に悪いですよ?」




まるで影から生まれたかのような黒ずくめの男が、いつの間にか立っていた




「ちっ」




俺はタバコをペッと捨てると逃げる




「逃げることは無いじゃないですか」




男はあっさりと追いつくと俺の腕を折った




「ぎゃあ!」




「次は足ですよ?」




男がそう言うと、俺の膝に足の裏を乗せる




「や、やめてくれ!」




「それは、過去のあなたに言ってください」




男はグッと足に力を入れると、俺の膝はあっさりと折れた




「も、もう、助けてくれ!」




「おや? 私が頼まれたのは、被害者と同じ状態にしてくれと言う話です」




「あいつはもう、死んでいる!」




「あなたは死なないといいですね?」




俺はビルから突き落としたあいつの最後を見ている




手と足が折れて曲がり、そして首も折れていたところを・・・




少年法で守られているのは、命ではなかった

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