第186話 何でも屋

俺は何でも屋をやっていた事がある





止めた理由は、本当に「何でも」依頼されるからだ





始めた当初は、資格も結構持っていたし、機械の修理なんかも得意だったし、ガタイもよかったため、引っ越しの手伝いや、調子の悪い機械の修理、水回りの修理などを想定していた





一番最初の仕事はいつまでたっても集金できない家を見張っててくれだったけどな(笑





1時間2000円程度で請け負っていたので、短時間の仕事は結構もらえた





あるとき、アパートの大家をしている人から依頼が入った





「住人が孤独死したので部屋を片付けてほしい」





俺は引っ越しの手伝いと似たようなものだと思って、手袋とマスクしか持っていかなかったのだが、実際に現場を見てみると最悪だった





人の形に体液が浸み込んだ畳に、生ごみが腐った匂い、大量の虫





正直、金に困っていなかったらすぐ帰っていたね





ただ、その時は本当に金に困っていて仕事を選べる状態じゃなかった





俺は吐き気をこらえながら殺虫剤を撒いて虫を退治し、ごみをまとめて捨て、嫌々ながら畳をはがした





何とか仕事を終えたが正直割に合わない仕事だった





さらに最悪な事が起きた





夜、寝ているときに腐った肉の匂いがして目が覚めると、足元の方にナウシカの巨神兵みたいな人型の何かが這ってきた





俺の足を掴んできたので、蹴るとグジョリとした感触がして腐臭がひどくなった





俺はなんとか逃げ出すと、台所へ行って塩をまいた





すると、人型の何かは苦しむようにして消えた





一人暮らしの俺に何か共感して出てきたのだろうか?

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