第185話 毒キノコ

「ひゃっはー! ウェーイ! イエイ、イエイ!」





何が楽しいのか、人通りの少ない路地裏で30歳くらいの男性が踊っている





たまに人が通るが、目を合わせないようにさっさと通り過ぎている





俺も関わりたくなかったのでさっさと通り過ぎようとした





「ウェーイ? うぇいうぇい!」





「ええっ、そうですね」





俺は急に話しかけられてしまったので適当に流した。すると、また踊りだした





その男は、次に通りかかったサラリーマンにも話しかけたが、無視されていた





「ウェイ!」





無視されて腹が立ったのか、男は何故かフードからキノコを取り出すと、サラリーマンの口に無理やり突っ込んだ。キノコは見た目が赤く派手でどうみても毒キノコにしかみえない





俺は警察に電話しながら巻き込まれないように離れた





しばらくしてパトカーが到着し、警官はキノコをもって踊っている男を押さえつけた。キノコを無理やり食わされたサラリーマンはアハハハハと何が楽しいのか焦点が合わない目でよだれを流しながら笑っている





幸い、新聞に死亡記事が載っていなかったのでサラリーマンは大丈夫だったのだろう。男の逮捕の記事は載っていた。





後日、その路地裏を再び通る事があったのだが、電信柱の陰にあの時のキノコが生えていた

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