第168話 電話ボックスが
道のど真ん中でお金を拾った
まあ、たった10円だが
近くには自動販売機は無いし、道といってもスクールゾーンになるような、中央線も引いてないような狭い道だ
「あれ、こんなところに電話ボックスなんてあったっけ?」
最近は携帯電話の普及によって電話ボックスなんてほとんど見ない気がする
電話ボックスなら10円玉を使うかと思ってポケットに入れた
次の日、散歩をしていると、昨日10円を拾った場所にさしかかる
「さすがに今日は落ちていないか」
まあ、当然だなと電話ボックスの前を通りかかった時、電話が鳴った
周りを見ても誰も居ない
まさか、俺宛てってことも無いだろう
無視して通り過ぎようとすると
「お金、返して」
と、どこからともなく声が聞こえた
不気味に思って速足で家に帰った
その夜、ベッドでうとうとしていると、玄関のチャイムが鳴った
一人暮らしなので、玄関へ向かう
「こんな時間に誰だ?」
そう思ってドアの穴から外を見る
誰も居ない
イタズラか?と思った時
「お金を返して」
と聞こえた
俺は恐怖よりも怒りを感じて、10円玉を財布から取り出すと
「だったら落とすんじゃねーよ!」
とドアを開けて10円を地面に叩きつけてドアを閉めた
しかし、また声が聞こえた
「違う、ギザ十」
俺は何か冷静になれたので、財布の中からおそらくこれが拾ったやつであろうギザ十を玄関前に置いた
それから何も音がしなかった
次の日、玄関前の10円は無くなっていた
そして、電話ボックスも無くなっていた
電話ボックスでギザ十を使って後悔した幽霊だったのだろうか
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