第167話 一家心中

夫が転勤のため、会社に近い場所へ引っ越すことになりました




夫は警察官です。新しいアパートは2部屋しかない狭い物ですが、子供の居ない私達には十分です




新しいアパートに引っ越しを終えると、疲れたので寝ました




それからしばらくして、夫が疲れた顔をして帰ってきました




「どうかしたんですか?」




「いや、一家心中があってね、3歳くらいの子供まで道づれとは可哀そうにって思って」




近所から不審な車があると連絡があり、その車の中で一家三人が倒れていたそうです




父親と思われる男性は運転席で死んでいて、母親は子供を抱きかかえるような恰好で死んでいたそうですが、子供はドアの近くで目を見開いて死んでいたそうです




夫は明日は非番らしく、気分を誤魔化すようにビールを飲んで寝ました




その日の夜中、何か物音がするので目が覚めました




隣の部屋のドアに何かがぶつかる音がします




ゴツッ、ゴツッと




夫はアルコールが入ったせいか、ゆすっても起きません




もし、物取りなら大声で叫ぶつもりでドアを開けました




「ぎゃーっ!」




そこには、目を見開いでドアに頭をつけた男の子が居ましたが、じょじょに透明になって消えました




叫び声は誰にも聞こえなかったのか、それとも夢だったのか、気が付くと朝でした




私は、お守りと清めの塩を用意することにしました

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