第139話 事故物件

俺は一人暮らしの大学生だ





安いという理由で事故物件を借りたのが間違いだった





住み始めて最初の1週間は何もなかった





友達を呼んだら、なんか空気が悪いと言われて誰も来たがらなくなったぐらいだ





夏休みに入り、寝苦しい夜が続いている





今、俺は金縛りにあっている





天井から黒い影が段々と降りてきて、輪郭がはっきりとしてくる





黒い骸骨に見えるようになった影は、俺の足元にボトリと落ちた





黒い骨の右手が俺の左足首を掴む





なぜか目だけ動かせるが、足はピクリとも動かない





俺の体をよじ登るように黒い骸骨は近づいてきた





骸骨は、俺の顔に段々と顔を寄せてくる





骸骨が大きく口を開けたところで目が覚めた





俺の腹の上に、3歳くらいの女の子が乗っている





何が楽しいのか、俺の体をよじ登ってくる





「私のママ、どこ?」





女の子が俺の顔を覗き込んでくる





俺はまだ金縛りなのか、動けない





「私のママ、どこー!」





女の子の顔がドロリと溶けて骸骨になる





俺は今度こそ本当に目が覚めた





時計を見ると、夜中の2時だった





俺は嫌な予感がして玄関を出ると、白い影が「おいで」という様に手で招いている





アパートの裏にある低木の側に来た





普通、人が来ることは無いような場所だ





白い影が地面を指さす





すると、木の近くに白い物が見えた





小さな、子供の骨だろうか





俺は近くにあった石で少し掘ってみると、やはり子供の骨だった





気づいたら、白い影は消えていた





警察を呼ぶと、行方不明だった3歳の女の子の骨だと言う事が分かった





俺の部屋は、母親が首つり自殺した部屋だ

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