第138話 赤い糸

赤い糸って信じていますか?




俺には糸が見える




絡んだ糸、ほどけた糸、短い糸、長い糸、太い糸、細い糸




自分自身の糸が見えないのが難点だ




「ねぇ、聞いてるの?」




俺の隣には、俺にはもったいないほどの女性が居る




高校3年で、受験も終わってあと少しで卒業というところで、彼女から告白を受けた




一目惚れだそうだ




俺の容姿は大げさに言ってもイケメンとは言えない




どんなところに惚れたんだ?って聞くと、全部って答えるんだよな




それじゃ分からないって言うと、私が分かっていればいいのって言う




卒業式前日、屋上で話があると言われた




「私ね、黒い糸が見えるの」




「黒い糸?」




「そう、前世の殺された恨みが見えるの」




そう言うと、彼女は俺を屋上の階段から突き飛ばした




俺はなぜ自分に赤い糸が見えないのか理解した

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