第136話 顔が怖い

顔が怖い





そう言われていた俺は、就職の面接にことごとく落ちた





スーツを着ていても、そっちの人?って聞かれはしないが距離を取られるので分かる





ある朝、面接に向かう途中に絡まれている女性を助けた





助けたといっても、俺が近づいていったら、男たちが逃げただけだが





「ありがとうございます!」





女性は、俺の顔を見ても怖がらず、きちんとお礼を言ってくれた





「おう、気を付けてけーれよ」





俺は右手を挙げて立ち去った





すると、会社の面接時にその女性もいた





「奇遇ですね!」





まさか、同じ会社の面接に来るとは。彼女は、俺も人の事は言えないが、20歳前後に見えないほど童顔だった





俺はうきうきと帰路についた





まあ、面接自体はいつも通り怖がられていたが





俺より先に面接を受けた彼女はどうだったのだろうか?





俺はコーヒーでも飲もうかと、公園に向かった





この公園は、近くにグラウンドもあるため、自販機がある





すると、さっきの女性の後ろ姿が見えた気がした





「おーい」





俺は彼女に声を掛けると、別人だった





「私に似た人かと思って声を掛けたって? あははっ、ナンパにしてもベタ過ぎ」





その子も俺の事を怖がらなかった





「そうだ、この先に涼しい場所があるよ」





今日は夏に近く、暑い日だった





俺はその子に連れられて行くと、廃工場の様だった





「ここの地下が涼しいんだ」





地下へ続く階段を下りていく





「俺の顔、怖くないのか?」





「いいえ、人間の顔なんてどれも一緒でしょ?」





そう言ったその子の顔は、蛇の様に口が裂けていた





「お腹に入れば一緒だし」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る