第122話 心霊スポット巡り

ここは客の寝たばこが原因で数名の死者を出した旅館だ





更地にする費用も無いのか、燃え残っている部分も多い





「ここが、幽霊が出るという旅館か」





俺は大学の休みを利用して、心霊スポット巡りをしている





敷地は当然立ち入り禁止とロープが張ってあったが、気にせずに中に入る





今は昼間だが、本物の幽霊なら夜しか出ないなんてことは無いだろう?





まあ、昼間に星が見えないように、夜の方が見やすいのならば夜まで待つが





俺はいろいろな物が詰まったリュックを床に降ろした





「ここから、焼け落ちているな」





廊下の途中から、炭のようになった柱のところまで歩いていく





「なして」





すると、焼け落ちて分からないが、客室だったと思われる場所から声が聞こえた気がした





「なして」





俺はその声がする方へ向かった





「なして、きただ?」





「君に会いに」





俺は、幽霊に会いに来たのだから、そう答えた





その幽霊は、20歳くらいの、キャミソールを着た美少女だった





「わたしに、あいにきたのけ?」





「ああ、そうだ」





「うれしぃ」





幽霊は、俺に抱きつくように近づいてくると、消えた





「成仏、してしまったのか・・・」





俺は残念に思ってリュックの中から水と花を取り出すと、焼け跡に供えた





いつになったら、俺と一緒に居てくれる幽霊が見つかるんだろう

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