第85話 煽り運転
「ちっ、前の車、トロトロ運転しやがって」
俺は追い越し禁止の標識を無視して追い越す
数日後、今度は、トロトロ走る車に接近し、ハイビームを当て、追い越して急ブレーキを踏んで煽った
「ははっ、トロトロ運転しているやつが悪い」
さらに数日後、普通に煽るのに飽きた俺は、山道を走っているときに、後ろから車をわざと追い抜かさせるが、追い抜けないように並走するように走ってやった
すると、普段車の通りなんてほとんど無いのに、運が悪いのか対向車がきた
並走していた車は、びっくりしたのか、急ハンドルを切ると、ガードレールを突き破り、崖から落ちて行った
「せ、接触していないし、追い抜こうとしたあいつが悪いんだ!」
俺は勝手に落ちたんだと自分を納得させて逃げた
対向車が通報したのか、ほとなくして崖から落ちた運転手が亡くなったことを知ったが、単なる事故として処理されたようだ
「ふう、俺が追い抜く方じゃ無くてよかった」
数日後、俺は海岸線を走っていると、前にトロトロ運転の車が見えた
この道は追い越し禁止でもなく、直線なので対向車が来てもすぐわかる
俺が追い越そうとしたら、急にスピードを上げやがった
「くそっ、危ない運転しやがって」
俺は一瞬山道の事故を思い出し、急ブレーキを踏んで追い越すのを止めた
その車は、しばらくして右折していった
次の日、普通の道路を走っていた時、また前にトロトロ運転の車が見えた
「最近遅い車が多いな」
この道でスピード違反の取り締まりをしている事は無いので、年寄りが運転しているのかもしれない
俺はスピードを上げると、その車を追い越そうとした。しかし、その車はスピードを上げて追い越せないようにしてくる
「最近はこんな車ばっかりかよ!」
俺は自分の事を棚上げして文句を言った。俺はさらにスピードを上げると、カーブで対向車が来たのに気づくのが遅れて追突した
自分の体がハンドルに叩きつけられ、肋骨が折れる感触がする。頭を打って意識が遠くなった
気が付くと、交差点の赤信号で止まっていた
「やべ、居眠りしていたか?それにしても、嫌な夢だ」
信号が青になり、前進すると、右側から赤信号を無視して入ってきた乗用車に追突された
運転席が潰れ、足が潰れる感触と、腕が折れる感触がした
気が付くと、交差点の赤信号で止まっていた
「いったい、何なんだよ!」
俺は赤信号を無視して急発進すると、前方から大型トラックがセンターラインを越えてくるのが見えた
俺の後ろの席から、「永遠に死ね」と言う声が聞こえた気がした
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