第86話 撮影で

心霊番組の撮影に、廃墟を利用した




「はい、カーット。じゃあ、次のシーン!」




撮影自体は順調に進んだ




俺はカメラマンとして、いろいろなシーンの撮影を行っていた




「じゃあ、次は暗闇の中を歩いてみようか」




監督がそういうと、周りの投光器を消す




真っ暗だと人も映らないので、赤外線モードにする




周りのスタッフも映るが、あとで編集だ




「あれ?」




俺は一人だけ体温が低い人を見つけた




普通の人間なら、橙色になるはずだが、そこだけが青色の人型だ




「人形か?」




その影は動かないし、第一、人間の体温であるはずがない




撮影が終わり、投光器が再度付けられる




さっきの場所が気になって確認するが、当然誰もいない。しかし、人形みたいなものもない




会社に戻り、編集作業だ




問題の部分を見るが、やはり青色の人型が映っている




「ねえ、気づいてる?」




俺の後ろから声が聞こえた。スタッフの声ではない




「ねえ、気づいてる?」




再び声が聞こえたが、振り向きたくない。編集に集中して気づかないふりをする




「ねえ、気づいてる?」




俺は、青い人形の部分を編集する




「気づいてるじゃない」




その声と同時に、画面から青白い女性が飛び出してきた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る