第62話 墓参りで

私は昨年、母を亡くした




その年、私は高校生2年生だった




母子家庭だったため、無理に働いたのが体を壊した原因らしい




さらに、入院費がもったいないからと、病院にもいかなかったため、手遅れになったみたいだ




それから1年、私は親戚の家で受験勉強に疲れていた




もう、こんな人生嫌だなと思っていた




ある日、母親が夢に出てきた




「疲れた時は、無理をしなくていいよ」




私は、それを母が言うのかと苦笑した




「つらくなったら、私の墓参りにでもしにきて、気分をリフレッシュすればいい。私に会いに来るのは、まだまだ早いからね」




母はそういうと、消えた




目を覚ました私は、そういえば、今日は母の命日だと思い、受験だからと忘れていた自分に腹が立った




母の墓の前で手を合わせて目をつぶると、チリンと鈴の音がした




私は足元を見ると、小さな鈴が落ちていた




もしかしたら、母からの墓参りのお礼なのかもしれない




私は、その鈴を大事に持ち帰った

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