第57話 水たまり
雨の日は嫌いだ
雨の日の次の日も嫌いだ
なぜなら、高確率で水たまりがある
俺が水たまりをのぞくと、去年死んだ俺の姉の顔が見える
姉は、俺を庇って交通事故で死んだ
その日は雨で、車はスリップして止まれなかったらしい
どんな理由だろうが、姉は車に殺された
姉は活発で、クラスでも人気があったそうだ
顔も俺が言うのもなんだけど、可愛い方だと思う
俺がふと水たまりをのぞくと、姉の顔が見えた
姉はニコリと微笑み、俺に頑張れと言ってくれているようだ
最初は水たまりをのぞくのが好きだった
姉に会える
ただそれだけの理由で
しかし、だんだんと学校の授業についていけなくなり、姉の笑顔を見るのが苦痛になってきた
そして、テストの点数が悪く、親にものすごく怒られた日があった
その日も雨だった
俺は水たまりを見ていて、そんな俺に笑顔を向ける姉に怒りがわいた
俺は近くに落ちていた石を水たまりに向かって投げた
すると、「ぎゃっ」という声と共に、水たまりの姉のこめかみから血がにじんでいる
それ以来、水たまりの中の姉は、憎しみの顔と共に、だんだんと傷口が腐っていく様になった
今となったら、もう顔の半分は骨が見えている
俺は水たまりが嫌いだ
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