第56話 動画配信で
私はミユ、女子高生で動画配信をしています
「今日もみんなアリガトー!」
配信を終え、シャットダウンを押し、パソコンのディスプレイの電源を落とす
ちょうど友達から電話がかかってきた
「明日の待ち合わせどうする?」
「10時に駅前の〇〇前でどう?」
「それでいいよ、じゃあ、また明日ね」
「うん、おやすみ」
私はそう言って電話を切ると、風呂に入って寝た
次の日、パソコンを付けようとディスプレイの電源を入れると、「強制終了しますか?」という画面で止まっていたため、動画配信が入りっぱなしになっていた
「ありゃりゃ、やっちゃった」
配信のログを見ても、「ミユちゃんいる?」とか「おーい、真っ暗だよ」とかばかりで、寝言などは言っていなかったようだ
私は、「ごめん、消し忘れ!」とログを残して、今度こそきちんと電源を落とした
「ごめん、待った?」
「ううん、今来たところ」
私は少し遅れて到着したが、友達も今来たところだったようだ
「じゃあ、今日は飲み物でもおごるよ!」
私はお詫びにジュースをおごる
その後、小物店や服屋を周り、買い物などをして帰った
パソコンをつけて、リスナーに今日の出来事を話す。もちろん、具体的な店名や住所は伝えない
次の日の朝、家にラブレターの様なものがポストに入っていたと母親が持ってきた
ラブレターには「ミユ様へ」と書いてあるが、私の本名はミユキのため、ミユと書く人に心当たりはなかった
中を見ると、「僕はあなたのファンです、ぜひ付き合ってください」と事細かに私の事が好きな理由などが書いてあった
「なんか気持ち悪い!」
私は、ラブレターをびりびりにやぶくと、ごみ箱に捨てた
次の日、またラブレターが届いた。「僕の手紙を読んでくれましたか?破いたりしてないですよね?」と、まるで私がやぶいたのを見ていたかのような文章に怖くなって、何かあったときの証拠として手紙を取っておくことにした
私が学校へ行くために家を出ると、後ろから付いてくる人がいる気がした
振り向くと、慌てて隠れるが、帽子を深くかぶり、マスクをしているので誰だかわからない
もしかして、ラブレターの人?と思いながら、学校の帰りに交番に寄る事にした
交番へ行ったけれど、ラブレターを送ることも、その人影が同一人物なのかも分からないため対処できないと言われた
私はがっかりして家に向かうと、後ろからまたついてきている気がした
夜、動画配信で、やんわりとストーカー行為って駄目ですよね?と伝えると、リスナーはみんな「そうだそうだ!」とか、「俺が守る!住所は知らないけどな!」とか、ふざけともなんとも取れない返事が来たので、不安は少なくなった
次の日は学校に向かうとき、怪しい人影は見えなかった
帰り道、急いで歩いていると、後ろから声をかけられた。見ると、かわいい中学生くらいの少女だった
「これ、落としましたよ?」
見ると、この間友達と一緒に小物店で買ったキーホルダーだった
「あ、どうも。ありがとう」
私はお礼を言うと、「どういたしまして」と言って去っていった
私は、カバンにキーホルダーを付けようとしたが、フックだけが残り、キャラクター部分だけ無くなっていた
しかし、私が拾ってもらったキーホルダーはフック部分もきちんとついている
「変なの」
私は、深く考えずにキーホルダーをカバンに着けると、いつも通り動画配信をした
数日後、私のツイッターにおかしなツイートがつくようになった
〇〇校に通っていたんですね。とか、〇〇のお店で買い食いしたんですか?とか
私は恐怖を感じて、そのアカウントをブロックしたが、他のアカウント名でまた書き込みがされていた
私は怖くなり、しばらく動画配信をやめ、出歩かなくなった
さらに数日後、両親が買い物で誰も居なくなった時に、チャイムが鳴った
インターフォンを見ると、この間キーホルダーを拾ってくれた少女だった
近所の子だったのかな?と思って「はーい」とドアを開けた
「こんにちは、最近動画配信をやめられたので、どうしたのかと思いまして」
私は、「え?リスナーだったの?」と思いながら、最近あったことを伝えてしまった
すると、少女は
「ああ、僕のキーホルダーに発信機が仕掛けてあったんですよ」
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