第55話 潰れた飲食店で

最近潰れた飲食店があります




固定客が年寄りばかりで、新しい客が入らなかったのが原因でしょうか




その飲食店がある場所は、大きな道から一本奥に入ったところにあるので、わざわざ探さないといけないことも原因だったのでしょう




駐車場も4台ほどしか止められない小さなお店ですが、中は品物は無い物の綺麗なものです




俺たち2人は窓からのぞくのを止め、中に入ろうとしました




入り口には、立ち入り禁止の札が下がっています




俺たちは店の裏側に回ると、厨房の方の出入り口に来た




あたりは暗く、裏側には民家もなく、壁になっているため多少怪しい行動をしていても見つかることは無いでしょう




「よし、鍵を壊せ」




相方は、マイナスドライバーをドアの取っ手の根元に差し込むと、バキッと壊した




「さあ、中に入るぞ」




俺たちは中に入ると、カウンターの中を見渡した




のれんがあり、その奥は休憩スペースになっているようです




もしかしたら、そこに貴重品があるかもしれないと、この時は思っていました




冷静に考えると、潰れた店に貴重品なんて置いてあるわけはないのですが




金庫はありましたが、すでに開けられていて、中身は空です




相方は、めぼしいものが無いと嘆いていますが、俺はカーペットが気になりました




「このカーペット、結構値打ちがありそうじゃないか?」




「俺にカーペットの価値なんて分かるわけないだろ」




相方はそういいますが、店で買えば普通に10万はするでしょう




「売るために、丸めて持ち帰ろう」




俺はそう提案したが、相方は「好きにしろ」と手伝ってくれません




カーペットをはがすと、床下収納の扉が出てきました




それを目ざとく見つけた相方は、




「おい、何かないか開けてみろ!」




と言いますが、俺は正直カーペットが手に入ったので満足です




俺はカーペットを置いてくると相方に言いました




ハイエースにカーペットを置いて、さっきの場所に戻ると、相方がいません




よく見ると、床下収納だと思っていたのは、地下室の入り口のようで、階段が見えます




懐中電灯を片手に照らしながら階段を降りると、相方がいません




突き当りに扉が見えたので、その中に入ったのかと開けると、鉄の匂いがしました




開けると、テーブルがあり、その上にはまな板が置いてありました




そこに、まるで豚をと殺したような大量の血の跡がありました




近くには、肉片や髪の毛らしきものも散らばっています




奥には冷蔵庫があり、見たくありませんでしたが、ひかれるように開けてしまいました




すると、中には20歳くらいの青年の生首や、高校くらいの制服を着た少女の胴体がありました




俺は吐き気を覚え、急いで階段を目指しましたが、さっきは開けれた扉が開きません




俺が扉をたたき、「開けてくれ!」と叫ぶと、相方が開けてくれました




「どうしたんだ?そんなに取り乱して」




俺は後ろを指すと、相方は首をかしげました




「何もないぞ?」




俺はゆっくりと振り返りましたが、テーブルの血はおろか、冷蔵庫も電気が着ていないため真っ暗でした




俺はいったい何を見たのでしょうか


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