第48話 盗撮容疑

道を歩いていると、声をかけられた




「どちらに行かれるんですか?」




「駅ですけど、何かありましたか?」




「毎日ここを通ってるんですか?」




声から、大体20歳代の男性だと思う




全く知らない男性から質問を受けることに違和感を覚えたが、質問に答える




「そうですね、近所に住んでいるので大抵ここを通りますよ」




「ところで、かわいいワンちゃんですね、触ってもいいですか?」




「いいですよ、噛まないので安心してください」




「ありがとうございます、よしよし」




なんだ、単なる犬好きかと思い、少し安心した




男性は、しばらくして満足したのか、立ち上がった




「ありがとうございました、また今度見かけたら触ってもいいですか?」




「また会った時はどうぞ、ただ、エサはやらないでくださいね?」




私はそう言って別れると、駅に向かった




夕方、電車から降りて帰ってくると、駅員から声をかけられた




「ちょっとよろしいですか?」




「はい、いいですよ」




私は、何かあっただろうかと駅員について行った




しばらく待っていると、違う男性に声をかけられた




「警察ですが、ご同行お願いできますか?」




「何かありましたか?事件ですか?」




「我々も、それを確認するためにお聞きしたいことがあるのです」




私は、駅の個室に連れていかれると、事情を聴かれた




「あちらの女性が、あなたに盗撮されたと訴えておりまして、それは事実ですか?」




「いえ、私は盗撮なんてしておりません」




「あなたのスマフォから盗撮動画が見つかりまして」




警察はスマフォを差し出したみたいだが、私はそもそもスマフォを持っていない




「私はスマフォを持っておりません。何かの間違いじゃありませんか?」




「サングラスを外してもらってもよろしいですか?」




「ええ、いいですよ。どうぞ」




私がサングラスを外すと、目の前に少し風を受ける。手を振っているようだ




「ありがとうございます。ところで、スマフォについて何か心当たりはありませんか?」




「なぜですか?」




「あたなの盲導犬にスマフォが取り付けられていたのです」




私は、今朝の男性が犯人だと思い、顔は分からないと伝えた




後日、スマフォの契約者から割り出されて、近くに住んでいる男性が盗撮の容疑で捕まったらしい




私は、新聞のニュース欄でそれを知った

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