第46話 メールで

学校の昼休み、弁当を食べている最中にメールの着信音が鳴る。食べ終わってから確認することにした




弁当箱をカバンに片づけ、スマフォを取り出してメールを見る。知らないメールアドレスだ




内容は、ただの一文だけ




(このメールを誰かに転送しないと殺す)




「何これ、いたずらメール?」




すると、隣の席での雑談が耳に入る。隣のクラスの子だろうか、知らない女子生徒がいる




「知ってる?最近はやりの殺人予告メール」




「知ってる!誰かに送らないと殺されるんでしょ?」




まさに、今私が受けたメールの事だ。私は、真剣にその話に耳を傾けた




「そのメールは、単純に削除すればいいんだって」




「えー、もう来ないように迷惑メールに入れたら?」




「それはだめだよ!」




急に女子生徒が大声で叫ぶので、教室がシーンとする




女子生徒は周りに「ゴメンッ」と顔の前で手を出して謝る




その後、ひそひそと話し始めたので、うまく聴き取れなくなってしまった




どうしても気になった私は、その子たちのところに近づいて声をかけた




「さっきの話、私にも聞かせてもらえない?」




「いいけど、私も他の友達からきいた話だから、違ってるかもしれないよ?」




「それでもいいわ。途中まで聞いてたから、迷惑メールのところからでお願い」




私は、近くの椅子を寄せて仲間に入る




「ああ、聞こえてたんだ。それじゃあ、迷惑メールに入れたらどうなるかなんだけど」




その話の時に私のスマフォにメールの着信があった




「ごめん、ちょっとスマフォ見るね」




私はメールを確認すると、今度のメールも一文のみで




(死んじゃだめだ!)




私は意味が分からなったけれど、削除した。女子生徒に続きを催促する




「迷惑メールに入れた人のメールアドレスで、勝手にメールが送られるんだって」




「ええー、それってウィルスって事?」




私は、それを聞いて慌ててさっきのメールを削除した




「内容は、私を殺してって送られるらしいよ」




「で、でも、住所も何もわからないよね?」




私はウィルスでも何でもいいから安心したかった




「それが、スマフォの位置情報を使って拡散されるらしいよ」




その時、またメールの着信が来た。今度も、知らないアドレスから一文で




(じゃあ、俺が殺してやるよ)




そのメールを見ていると、女子生徒がとんでもないことを言い出した




「あ、ゴメン、反対だった。削除せずに迷惑メールに入れるんだった」




私は血の気が引く。そして、スマフォを差し出す




「もしかして、削除しちゃった?」




「うん・・。削除したんだけど・・」




すると、またメールが届く。次々と




(死ぬ前に相談した方がいいですよ)




(殺す、殺す、殺す)




(あの、死ぬ前に会いませんか?)




(死にたいの?ねえ、死にたいの?)




「これ、どうしたらいいの?」




「これは、もともと1通だけの転送だし、誰かが削除した段階で消えるから、噂にはならないはずでしょ?」




確かに、一人にだけ送る、もしくは途中で誰かが削除すれば知る人が増えるわけがない




「救済には、着た時と同じ内容で10人の友達に送ればいいらしいよ」




私は、友達に謝りながら、届いたら迷惑メールに入れて欲しいと言ってメールを送っていった












「どう?このイタズラ」




「わざわざ知り合いに、あの子にメールを送らせるなんて手の込んだことする必要あるの?めんどうじゃん」




「私が好きな男子、あいつの事が好きなんだって。うざいわ」




「でも、近くで届いたばかりのメールの話をするって怪しすぎない?」




「まあね、でもばれなかったしいいじゃん。迷惑メールに入っているから、メルアド変更まで連絡とれなくていい気味」




女子生徒は、休み時間の終了のチャイムと共に自分のクラスに帰っていった




次の日、その女子生徒は登校途中に通り魔に殺されたらしい

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