第41話 交番で

俺は警官だ




普段は2人体制で勤務を行っているが、相棒はパトロール兼夕食の買い出しに行っている




あたりは大分暗くなってきた




書類整理をしていると、一人の男性が飛び込んできた




「助けてくれ!」




「何がありましたか?」




「女に追われている!」




何かに斬られたのか、左腕から血を流しているのが見えたので、奥に通して手当てをする




俺は救急箱から包帯を取り出して止血すると、救急車を呼んだ




相棒に連絡し、救急車を待っている間、話を聞くことにした




「俺は、居酒屋の帰り道、女を見つけたんだ。女は酔っている様だったので、介護しようと思ったんだ」




本当に介護か?ナンパの間違いじゃないのか?と思ったが、口には出さなかった




「それで、どうしましたか?」




「女は、路地裏に入って行って、危ないと思った俺は、女に声をかけたんだが、急に包丁で斬られたんだ!」




「凶器を所持している可能性あるのか、警戒する必要があるな」




俺は近くの交番に、不審者が凶器を持っている可能性があると応援を頼むことにした




「女性の見た目は?」




「ストレートの黒髪で、150cmくらいだと思う。白いワンピースに薄い茶色のコートを着ていたと思う。あ、左目の下にホクロがあったはずだ」




俺は手帳に特徴を書き込むと、他の交番へ女性の特徴を伝え、応援を頼んだ




救急車のサイレンの音が聞こえてきたので、男と一緒に交番の前へ出る




「あ、あいつだ!」




急に男が叫び、指さした方を見ると、先ほどの特徴のある女性が歩いてきている




右手に包丁を握っていたため、俺も拳銃に手をかけ、静止の声をかける




「そこの女性、止まりなさい!」




その女性は、俺の声を気にすることなく、左手で俺の右側を指差す




俺と男は、つられて右を見ると、「うっ」と言う声が聞こえた




振り返ると、男の首に包丁が刺さっている。女性が包丁を投げたようだ




女性は走り出し、俺は追いかけようとするが、丁度着いた救急車が女性との間に止まった




俺は煩わしく思い、救急車の横へ出ると、女性を探したが見当たらなかった




女性の捜索は応援に任せることにし、救命士と共に男の様子を見たが、包丁が深く刺さっていて即死だった




その後の捜査で、男と女性の身元が判明した




男は、最近この付近を騒がせていた婦女暴行、強姦致死罪で指名手配予定の犯人で、女性はその被害者だった




俺は、もう一度とその女性に会うことになるだろうか?




その女性を殺害した犯人は、2名だからだ












しかし、俺は女性に二度と会うことはなかった




この話を聞かせた相棒が、拳銃自殺した事に関係があるのだろうか

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