第47話 シミュレーションゲームで

数千年後の未来、人類は過去に戻る事ができるようになっていた





過去を変えることはできない





それは当然だ、過去があるからこそ未来がある。繋がっているのだ





例えば、過去に行った人間が、1歩を踏み出して虫を1匹つぶす





もしかしたら、そこで一息吸って酸素濃度がホンの少し変わるだけでも、バタフライ効果によって全く同一の未来になることは無いのかもしれない





つまり、全く違う未来が作られる





過去を自由に改変しても、今の未来が変わることは無いということだ





そこで、過去の地球へ行って好き放題することにした





よし、人類を777人に調整しよう





全く何の意味もない、単なる思い付きである





進みすぎた科学は魔法と一緒、何でも自由にできる





という触れ込みのシミュレーションゲームを買ってきた





実際、未来では実際に過去にあった歴史の一部分を切り取って、その人物をAIとして動かし、それをRPGにするゲームも流行っていた





パソコンで、西暦2020年頃の地球をシミュレートして、人類にいろいろな命令を下して選別するゲームだ





ちなみに、西暦2020年の人口は77億9500万人





この時点で、シミュレーションゲーム内では子供も生まれなければ、老衰もしない、事故でも病気でも死なない、俺が何も手を加えなければ永遠に平和な世界だ





プレイ方法は簡単だ





付属のマイクに命令すれば、その通りに実行される





まず、最初の命令を下す





「人類よ、誰かひとりを殺せ!」





失敗した、人口比率がおかしいことになった





0~2歳児が0人になった





80歳以上の高齢者も一桁台になった





実際に行われたログを見てみる





「抵抗しないやつを狙え!」





「病気で動けないやつを狙え!」





また、それで職を失った病院関係者と、介護関係者が自殺したため、人類が半分以上減ってしまった





次の命令を下す





「人類よ、隣のやつを殺せ!」





また失敗したようだ





男女比が9:1くらいになった





最終的に人数を調整すればいいのだろうが、男ばかり残っても将来が心配になる





「まあ、ゲームだしいいか」





現状で約4分の1を少し下回るくらいの人口だ





このままどんどん半分にしていけばいいか?と思ったら、命令回数に制限があるらしい





ここで一気に減らそうか





「人類よ、20代以外を殺せ!」





一気に3億人程に減った





ゲームに夢中になっていると、頭の中に声が聞こえる





「ニートは自殺しろ!」





俺は包丁を手に取ると、喉に刺した





ここも、ゲームの世界だったのか・・・

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