第12話

大量の血がどんどん流れ出してきて、一目見て死んでいるとわかったそうだ。



権藤は検死官のもとにやって来た。


聞くまでもないだろうが、一応は聞いておかないと。


「どうだ」


「四人目ですが、前の三人とほとんどかわりませんね。特に二人目、アスファルトに叩きつけられた仏さんとほぼ同じです」


「そうか」


「マスコミが騒ぎますね」


「そりゃそうだが、おまえが心配することではない」


「今はネットもありますから、世界中でけっこうな騒ぎになっています」


「……」


権藤はそれ以上何も言わずにその場を後にした。



予想はついていたが日本中、いや世界的に見ても大きな騒ぎとなっていた。


雨宮はここ数日、明らかに外国人と思えるテレビクルーを何隊も見た。


ネットの世界も大騒動で、真偽のほどはさだかではないが、さまざまな説や憶測が飛び交い、日本を含めて世界中のユーチューバーが動画を投稿していた。


外国の動画に勝手に日本語字幕をつける人たちもいた。


そしてしばらくすると、マスコミもネットもある日付に注目するようになった。


ネットではあと何日という言葉が飛び交った。


あと何日とはもちろん次の満月の日のことだ。



権藤の知る限り、これほどまでに署内で大々的に取り扱われた事件はなかった。


その事件とはもちろん満月連続殺人事件である。

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