第62話 部屋移動

レ「悪魔の襲撃があった。今は俺の分裂体を連れて行っているが・・・。」


ケ「すぐに対応しますワン。ラヴィ様に連絡するワン。」





ケルベロちゃんは落ち着いたのか、語尾を戻し、ラヴィ様に連絡するためにフロントへ向かった。


しばらくすると、連絡が付いたのか、ラヴィ様とケルベロちゃんが転移してきた。





ラ「何度も侵入されるようでは困りますね。結界を強化しましょう。」


ケ「お手を煩わせて申し訳ございません。よろしくお願いいたします。」





ケルベロちゃんの敬語とか、レアだな!ラヴィ様がビジネスホテルの外に出ると、力を込めるように空中を撫でる。ビジネスホテルがキラキラ光るマクの様な物で包まれる。





ラ「光の壁と空間固定の応用よ。これで簡単には転移、透過、物理攻撃、魔法攻撃などのスキルを使って入り込むことは出来なくなったわ。その代わり、女神も転移や透過で入れなくなるけれど。」


ケ「問題ありません。見習い女神は異世界人と共に行動していますので。」





え、メィルはいつも転移だけど。困るのがあいつだけなら問題は無いか。





ラ「それよりも、ワルキューレは気づかなかったのかしら?」





ワルキューレはラヴィ様が現れた時点ですでに微動だにせず土下座している。





ワ「たびたび申し訳ございません!」


ラ「気づかなかったならしょうがないのよ? 一緒にいるはずなのに気づかないのはどうかと思うけれど。」


ワ「いえ、一緒に居ませんでした!」


ラ「何故かしら?」


ワ「え? 何故とは・・? 部屋が違いますし。」


ラ「何故部屋が違うのかしら?」





ワルキューレの顔色が段々と悪くなって汗を流し始めた。





ワ「そ、それは、男と女とか・・。」


ラ「あなた、女神よね?」


ワ「はい・・。」


ラ「人間に襲われても、対処できないの?」





俺は襲う気は無いぞ! と言いたかったが、口を挟める空気ではない。





ワ「いえ・・。」


ラ「なら、問題は無いわね?」


ワ「・・はい。」





どう問題が無いのか俺には分からなかったが、口答えしても無駄だと悟ったのか、ワルキューレはうなだれて返事をした。





ワ「ケルベロ様、せめて大部屋を用意できませんか・・・。」


ケ「分かったワン。弥生もそれでいいかワン?」


ヤ「え?どういうことですか?」


ラ「結界を作ったからそうそう無いとは思いますが、今度また悪魔が現れた時に守りやすいように、護衛対象を一塊にしたいと思います。」


ヤ「それって、源さんと同じ部屋に住むってことですか?」


ラ「そういう事です。」


ア「弥生とイルナも一緒か?それは楽しそうなのじゃ!」





弥生は小さく、「アヌビスちゃんも居るし、大丈夫よね?」と呟いた。ワルキューレは弥生が断らなかったことにあぜんとした顔をしたが、ラヴィ様ににらまれて諦めたようだ。





ワ「零殿、これから、よろしく頼む。」


ヤ「でも、寝るときに部屋は仕切りで割りますからね! それに、覗かないで下さいよ!」


レ「ああ、わかっている。心配するな。」


ヤ「本当ですか? もぉ。」





弥生は、言うほど不安がってはいないようだ。


ちなみに、大部屋は105号室だった。大部屋と言うだけあって一番広い部屋は10人分くらい布団が並べられそうだ。そして、外が見える小部屋が2つ、大部屋と小部屋の中間の小部屋が1つの4部屋がある。外が見える小部屋2つは、お互い行き来するのに大部屋を通らなければならない。





ワ「私が責任をもって大部屋と小部屋の中間の部屋に陣取る!」





ワルキューレは、103号室から白いテーブルと椅子をアイテムボックスに入れて持ってくると、そうそうに決めてしまった。責任をもって見張らなくても、別に俺は覗きに行かないって。それに、メィルが千里眼で監視しているだろうしな。





俺とアヌビスは直接大部屋とつながっている小部屋を。弥生とイルナはワルキューレの部屋を通った先の小部屋を使うことにした。





ア「窓から飛んでイルナの部屋へ遊びに行く方が近いのじゃ!」





アヌビスはそう言って小部屋の窓を開けて隣の小部屋へ行くが、まだ弥生たちは102号室から帰ってきていないので、窓が閉まっていたようだ。





ア「むぅ、窓がしまっておったのじゃ!」


レ「俺達はアイテムボックスが無い分だけ運ぶ量が多いんだから、さっさと行くぞ。」





俺達が105号室を出ると、丁度弥生たちが入ってくるところだった。





ヤ「源さんはこれからですか?でしたら、私がアイテムボックスで手伝いましょうか?」





そう言う弥生は手ぶらだ。アイテムボックスって便利だな。





レ「まあ、大した私物も無いけど、手伝ってくれるなら助かる。」


ヤ「分かりました、任せてください! ・・・ちなみにエッチな物は無いですよね?」


レ「無いよ!? そもそも、ケルベロちゃんが取り寄せてくれないだろ。」


ヤ「そうですよね。じゃあ、片っ端から入れていきます! リスト化されるので適当に入れても大丈夫なので!」





101号室に着くと、さっそく弥生は目につくもの全てをアイテムボックスに入れていった。





レ「あっ、ちょっと待った!」


ヤ「え? あ・・・。」





ちょっと言うのが遅かったが、下着類もそのままだった。





ヤ「まあ、これくらいなら大丈夫です。」





弥生はそう言って、つまむようにトランクスもアイテムボックスへ入れていった。アヌビスの私物もほとんど無く、あっという間に片づけは終わった。





ヤ「それでは、105号室でリストを読み上げますので、置く場所を指定してください!」


レ「いや、そんなに手間をかけなくてもどうせ1部屋しかないんだから、全部一緒に置いてくれていいよ。」


ヤ「そうですか?それじゃあ、置きますね。」





弥生は小部屋のすみっこにすべての荷物を置いて行ってくれた。まあ、ほとんど着替えとゲームくらいだけどな。





ヤ「それでは、おやすみなさい!」





弥生は荷物を出し終わると、小部屋に帰っていった。





レ「アヌビス、片づけは手伝えよ。」


ア「分かっているのじゃ、我の荷物はここに固めるのじゃ。」


レ「ケルベロちゃんに言ってタンスを取り寄せてもらおうか。」





アヌビスはタンスが分からないようだったが、服を入れる物だと言うと、納得した。


片づけが終わって大部屋に行くと、ワルキューレが闇の壁で仕切りをしていた。





ワ「こちらが弥生殿、こちらがイルナ殿、こちらがアヌビス殿、そしてここが零殿のスペースだ。」


ア「我は零と一緒の部屋でいいのじゃ。我の部分はワルキューレが使うとよい。」


ワ「気を使ったつもりなのだが、1つ空けてくれると言うならそこを使わせてもらおう。」


レ「4等分で区切って、ワルキューレはどこで寝るつもりだったんだ?」


ワ「新しく覚えた血魔法で、蝙蝠に変身して天井にぶらさがって寝るつもりだったが?」


ヤ「よかったですね、スペースが空いて。」





俺達は歯磨きをして寝ることにした。ちなみに、風呂は時間を分けて入った。

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