第59話 透明化スキル
イルナはそう言うと、気絶したようだ。すると、近くに転移魔法陣が現れた。
ケ「何があった?」
ケルベロちゃんは分身体のようで、いつもは着ないメイド服だった。なぜ分身体だと分かるかと言うと、語尾にワンがついていないからだ!
ワ「はっ、天使ルバートという悪魔が現れました!悪魔はすでにイルナが倒しました!」
ワルキューレは、はきはきと返答する。
ケ「昨日の夜に倒したやつか、生きていたとはな。死ぬ前に憑依し直したのか? ちっ、鑑定しておけばよかったな。」
ワ「それで、なぜケルベロ様がここに?」
ケ「昨日つけた追跡スキルが消えたから、一応様子を見に来た。これがルバートのコアか。」
ケルベロちゃんはコアを拾うと、昨日きちんと確認すれば・・と呟いていたが、過ぎた事だ。
ルバートのコアは、モンスターの水色のコアと違い、黒いコアだった。
ケ「こいつは念のため、あたちが預かる。お前たちは引き続きダンジョンを攻略するように。」
ケルベロちゃんはそう言うと、転移していった。
レ「昨日そんなことがあったなんて気が付かなかったな。悪魔を取り除いたとは聞いていたが。」
俺と弥生は、気絶したイルナをワルキューレに預け、少しでも強くなろうとモンスター狩りに向かった。
レ「必殺、ゾンビアタック!」
俺は大量の攻撃力特化の分裂体を作ると、黒騎士を攻撃させる。黒騎士は、まるでゾンビにたかられる人間の様に、沈んでいった。分裂体は俺そっくりだけど、目が死んでいる。サービス残業が続いたときの俺のイメージだ!
ヤ「ステータスは、HP550、MP0、攻撃力400、防御力0、素早さ50、魔力0ですね。なんか、見た目が悪いです、それ。」
弥生はワーウルフになると、黒騎士をクナイで切り裂いていく。黒騎士に210ダメージ。剣で突き刺してくる黒騎士を、腕輪を変化させて鞭状にし、手首にからめて動きを止めると、クナイを目に突き刺す。クリティカル発生、黒騎士に792ダメージ。
この階でそれなりに戦えるようになった俺達は、昼飯まで狩りを続けた。お昼になると、イルナも目が覚めたようだ。
イ「・・・ご迷惑を、おかけしました。」
レ「いやいや、まさかイルナがあんなに活躍するとは思わなかったよ。」
俺は攻撃判定にならないようにイルナの頭を軽くポンと撫でた。
ヤ「アヌビスちゃんと同じ強さだなんて、神クラスですよ、神クラス!」
ア「我をあがめよ! ホットケーキを持ってくるのじゃ!」
レ「だから、食堂にはホットケーキは無いっての。」
俺達が騒がしくしていると、はじまる様が奥から出てきた。
は「おう、元気がいいな! 好きなものを食って、力をつけるといい。これからも、がんばるんじゃぞ!」
俺と弥生は激辛カレーに挑戦し、敗北した。アヌビスはケーキとジュース、チャーハンと良く分からないチョイスをしている。ワルキューレは紅茶を飲み、利用が初めてのイルナは、日替わり定食を頼んだ。ちなみに、この日の日替わり定食は、白ご飯に、みそ汁代わりのワカメうどん、ヒレカツにキュウリの漬物だった。
イルナの居た世界は、俺達の居た世界の昭和並みみたいで、ご飯もうどんもあるそうだ。昼飯を食い終わると、購買に向かった。今回は、新しいスキルを覚えたいと思う。
レ「前にワルキューレが使っていた時空系の魔法って何にでも使えて便利じゃないか?」
ワ「ん? 神ではない者が使ってもあまり意味が無いぞ? 零殿が仮に使ったとして、MP1000で1秒戻れるくらいではないか。」
レ「燃費悪いな!時間を操る系って最強に近いのがお約束なのに・・。」
ヤ「あー、時間を止めて、弾幕を歩いてかわすとか憧あこがれますね! 他の人にとっては一瞬で移動しただけにしか見えませんが。」
レ「それなら、女神様達が持っているようなスキルの中から使えそうなやつを選ぶか。透過、透明化、飛行、HP自動回復、あとは、耐性なんかか?」
ヤ「透過と透明化は絶対だめです!」
レ「なんでだよ? 透過なんて、実質物理無効化だし、透明化は格闘戦じゃほぼ最強だろ?」
ヤ「源さんは、壁を貫通してお風呂を覗いたり、透明になって下着を覗きそうなので、絶対ダメです。」
レ「しないよ!? 信用無いのか!」
ヤ「え?信用・・?あると思っていたんですか?」
弥生の目からハイライトが消える。これはやばいパターンだ。
レ「じゃ、じゃあ、弥生が覚えるか?」
ヤ「そうですね、透明化を覚えましょうか。」
形無弥生:HP1292、MP1230、攻撃力450、防御力180、素早さ280+196、魔力170、スキル:変化、投擲術(8)、空間魔法(5)、透明化
投擲術(8)は投擲ダメージ1.8倍、素早さ1.7倍、飛距離1.6倍、クリティカルダメージ1.5倍加算、貫通属性付与、投擲武器操作、投擲武器に衝撃波付与、投擲速度増加
レ「うぐぐ、こんなはずでは・・。弥生ばかりが強くなっている気がする。」
ヤ「源さんも何か覚えればいいじゃないですか、エロが絡まないなら許します。ちなみに、千里眼、透視、録画、瞬間記憶、絶対記憶、屈折、影渡、麻痺・・・etc」
レ「もういいよ、俺はスキルなんて要らない!」
俺は心の中で泣きながら、購買を後にした。後ろを見ても誰も追いかけてきてくれない。そう思ったら、ポンと肩に手を置かれる。振り向くと、透明化していたメィルだった。
メ「残念だったね、お兄ちゃん!」
メィルがいい笑顔で俺を慰めたので、とりあえず殴りかかるが、かわされた。
ヤ「へー、本当に見えないんですか?」
目の前から弥生の声がする。透明化を使っているようだ。
レ「ああ、見えないな。」
俺は声の聞こえた方に手を伸ばす。すると、フニョンという手ごたえがあった。
ヤ「なっ、ななな何をするんですか!」
弥生が姿をあらわすと、ゴインと頭を殴られた。零に170ダメージ。
レ「ご、ごめん。見えなくて、なんとなく声が聞こえた方に手を出してしまった。」
ヤ「本当ですか? 実は透明看破スキルとか持ってるんじゃないですか?」
レ「いや、鑑定すれば分かるだろ。」
ヤ「じゃあ、鑑定! ちっ、本当の様ですね。」
とうとう弥生に舌打ちされるようになった・・。透明化はあくまで透明になるだけで、透過と違って触ることは出来る。透過は、見えるけど触れない。また、攻撃するときは透明化が解除されるようだ。それでも、背後に回れば奇襲できるので、便利だと思うぞ。
メ「お兄ちゃんもベタな事するよね!」
レ「わざとじゃないと言っているだろ!」
メィルがニヤニヤするので、殴ったら素通りした。
メ「これが透過でーす。」
メィルがさらにニヤニヤして煽るので、プチッと堪忍袋の緒が切れた俺は、裸のメィルをイメージし、分裂で作り出す。
レ「じゃあ、こいつをばら撒くかな?」
メ「ごめん、お兄ちゃん!もうしないから!」
メィルが泣いて謝るので、今回は許してやるか。
ヤ「・・・源さん、いつもそんなものを作っているんですか?」
弥生の冷たい声が聞こえる。俺はギギギと首を弥生の方へ向けた。
レ「いや、作ったのは初めてだから、ほら、もう消すよ!」
俺はメィルの分裂体を殴った。メィルの分裂体に170ダメージ。
ヤ「それにしては、慣れているようですが?」
レ「いや、最近は分裂体を作るのにも慣れたし、そもそも本人を見ながらだから、イメージが楽だというか。」
俺はしどろもどろになって説明をして、2度と女性の裸を作らないことを約束し、納得してもらった。
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