第58話 ダンジョン攻略10日目

アラームが鳴る。俺は目を覚ましてアラームを止め、アヌビスを見ると、アヌビスも起きたようだ。




ア「おはようなのじゃ!」


レ「ああ、おはよう。」




アヌビスを着替えさせ、軽く体操をしてから歯磨きをしていると、弥生たちが来たようだ。




ヤ「おはようございます!源さん!」


ワ「おはよう」


イ「・・・おはようございます。」


ア「おはようなのじゃ!」


レ「おはよう、みんな。」




挨拶を終え、飯を食う事にする。




レ「ところで、イルナはどういう世界に住んでいたんだ?」




見た目はほとんど俺達地球人と変わらない。




イ「どんな世界と言われても、普通の世界ですよ?」




そこに住んでいる人にとっては、普通だよな、うん。




レ「質問が悪かった、魔法とかスキルとかはあったか?」


イ「? 普通、ありますよね?」


ヤ「普通、無いですよね?」




やはり、常識は違うようだ。




ワ「使い方を知っているかどうかだと思う。仮にお前たちが地球に行っても、今持っているスキルは使えるからな。」




まじか、このまま地球に戻れば無双・・ってほどのスキル持っていないな。




レ「よし、スキルなり魔法なりを覚える為に、今日は5階でコアを集めまくるぞ!」


ヤ「その前に、ご飯にしましょう!」


ア「ホットケーキ!」




それぞれ朝食を取った後、俺達はダンジョンに向かう。ちなみにイルナはアヌビスと同じものを食べた。


ダンジョンに着くと、メィルが文字通り飛んでくる。




メ「おはようお兄ちゃん達!ネクロマンサーはどうなったの?」




メィルは拘束の解かれているイルナを見る。




レ「ケルベロちゃんによると、憑依されていたらしくて、いまは普通の人間だ。」




その後、ラヴィ様にも昨日のあらましを話す。




ラ「では、あなたはどうしたいですか?」


イ「・・・どう、とはどういうことでしょうか?」


ラ「このまま残るのか、元の世界に戻るのかと言う事です。」




イルナはここでスキルを得ているわけで無いので、元の世界に戻れるらしい。




イ「元の世界に居場所は無いから・・・、ここに居て良いなら弥生様と一緒に居たい。」




イルナはそう言うと、弥生の服に掴まる。




ヤ「あぁ、イルナちゃん可愛い・・はぁ、はぁ。」


レ「イルナがいいなら、それでもいいけど、戦えるのか?それとも留守番するか?」


イ「・・・憑依すれば、戦える。アヌビス様、よろしいですか?」


ア「ふむ、何をするのじゃ?」


イ「・・・感じるのです、アヌビス様の力を。その力を少しの間だけ開放することが出来ます。」


ア「面白そうなのじゃ、やってみるのじゃ。」




イルナはアヌビスの手を取ると、ネクロマンシーを唱えた。アヌビスの復元体が床に倒れ、イルナが中学生くらいになっている。




イ「どうじゃ?」


レ「メインの意識はアヌビスか。」


イ「いいや、不思議な感覚じゃ。アヌビスでも、イルナでも無い感じじゃ。」




イルナはそう言うと、飛行する。




イ「なんじゃ、変な感じがするのじゃ。」




イルナがそう言うと、イルナの体から煙が出てきた。その煙は、綺麗な女性の姿になった。人間の様な見た目だが、普通の人間なら煙にならないよな。




天「はぁ、はぁ、こんな時に私が追い出されるなんて・・・。」


レ「イルナに憑依していたのか?弥生、鑑定を!」


ヤ「はい!鑑定!」




女性は弱っているのか、肩で息をしたまま動かない。




天使ルバート(悪魔):HP100000、MP120000、攻撃力20000、防御力16000、素早さ27000、魔力17000、スキル:なし




ヤ「天使って名前ですけど、デーモンより少し弱い悪魔です!」


天「私が、デーモンごときより弱いですって?それもこれも、あの犬みたいな女神のせいよ!!」




ルバートは苛立たしく感じたのか、こめかみをピクピクさせている。




レ「犬みたいな女神ってケルベロちゃんの事か?」


天「そうよ!そのケルベロのせいよ!もう少し力を回復させようと思ったら、今度は憑依を解除されるし!」




ルバートはヒステリックに叫び続けている。悪魔が相手なら、ワルキューレの出番か?俺はワルキューレの方を見るが、その前に、イルナが立ちふさがった。




イ「我に任せよ!久しぶりの全力じゃ!」




弥生を見ると、すでにイルナを鑑定していたようだ。




イルナ(神):HP50000、MP45500、攻撃力1500、防御力5000、素早さ7800、魔力12000、スキル:魔法耐性(大)、闇魔法(7)、HP自動回復(大)、MP自動回復(大)、転移魔法、鑑定、蘇生、千里眼、飛行、装備:神杖・魔力4万、聖なる衣・防御力3万




ヤ「最初に出会った時の、アヌビスちゃん本来の力になってます!」


天「例え弱っていようと、ただの人間なんかに負けるもんですか!」




ルバートは鑑定を使えないのでわかっていないが、今はアヌビスと同等の強さなので、装備ありならアヌビスの方が強い。ただ、ルバートの方が素早さは上だ。ルバートは、長い腕を槍の様にイルナに突き出した。イルナに0ダメージ。




天「くそ、どいつもこいつも邪魔しやがって!」




ルバートは逃げ出そうと、イルナの反対側を向いた。




イ「そうはさせぬ!」




イルナは影で蔦の様なものを作ると、ルバートに巻き付けた。そして、神杖に魔力を通して槍にすると、ルバートに突き刺す。ルバートに35000ダメージ。




天「あぁあぁああっ!私に、ダメージを、与えるな!」




ルバートは、狂ったように暴れだした。振り回された腕をイルナは杖で防御する。イルナに0ダメージ。




イ「真闇!闇の球!」




ルバートは真っ黒に塗りつぶされたようになり、ルバートの顔面部分に闇の球がぶつかる。ルバートに35000ダメージ。




天「へぶっ、くそがぁぁぁ!」




ルバートは、左腕を伸ばしてイルナの足を掴み引き寄せると、右手をイルナの首に突き刺した。クリティカル発生、イルナに20000ダメージ。




レ「大丈夫か!」


天「クフフフフ、ああ、気持ちいいわぁ!」




ルバートは急に機嫌が良くなったのか、イルナを持ち上げて地面に叩きつけると、背後から心臓を刺した。クリティカル発生、イルナに20000ダメージ。




ヤ「イルナちゃん!」




弥生は助けようとするが、俺達の素早さじゃ絶対に攻撃は当たらないだろう。




イ「大丈夫じゃ!」




イルナは蘇生を使うと、HPを全快させる。そして、MPを飛行につぎ込むと、足を掴んだままのルバートごと空中に浮いた。




天「ああ、何を!」




イルナは闇の壁を作ってルバートの目隠しをすると、魔力を込めた神杖の槍で突き刺した。ルバートに35000ダメージ。




天「あぁぁ、ベ・・・ブ・・様。」




ルバートはコアになった。それと同時に、イルナとアヌビスの憑依も解けたようで、イルナは小さくなり、復元体のアヌビスも起き上がった。




ア「あぁ、元に戻ってしまったのじゃ。」




アヌビスは残念そうな顔をしている。




イ「はぁ、はぁ、私には、はぁ、このくらいの、はぁ、時間が、限界、です。」

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