第37話 アヌビスと同居

ア「待たせたのじゃ。」




アヌビスは、俺の近くに来ると、慌てて攻撃してきたライカンスロープの攻撃をあっさりと左手で受け止める。アヌビスに0ダメージ。反撃に、アヌビスは闇魔法を唱えると、闇の球をライカンスロープにぶつけた。ライカンスロープに970ダメージ。




なんとか新手を撃退した俺達は、コアを拾うと一旦帰ることにした。帰る途中は幸運?にもコボルトしか出なくて俺達でも倒せた。




受付に戻ってきた俺達はメィルに状況を聞いた。




レ「メィル、どうだ?ラヴィ様に連絡はついたか?」


メ「ううん。私は念話とか交信のスキルを持ってないから、備え付けの電話で緊急用の連絡先にかけたんだけど、出る気配がないの。一応、食堂にも行ったんだけど、臨時休業になってたんだよ・・。」


レ「はじまる様も居ないってことか?悪い事には悪い事が重なるな。よし、購買に寄ってアイテムを補充した後にケルベロちゃんに相談しよう!」




俺は回復剤をコボルトのコアと交換で補充すると、他のコアと交換でMP自動回復(小)のスキル書を買い、スキルを覚えた。残りのホワイトファングのコア、ヘルハウンドのコアは2人で分け、ライカンスロープのコアは弥生が食べた。敵が強かったからか、結構ステータスが上がった。




源零:HP403、MP310、攻撃力70、防御力80、素早さ80、魔力41、スキル:分裂、MP自動回復(小)




形無弥生:HP572、MP405、攻撃力110、防御力50、素早さ117+70.2、魔力50、スキル:変化、投擲術(7)、空間魔法(4)


投擲術のレベルが上がり、投擲ダメージ1.7倍、素早さ1.6倍、飛距離1.5倍、クリティカルダメージ1.4倍加算、貫通属性、投擲武器操作、衝撃波発生、となったようだ。また、空間魔法(4)に2段階上がり、容量無限と、アイテムボックス内のリスト化が付き、適当にアイテムボックスに物を入れてもリストで即座に欲しいものが取り出せるようだ。




これでライカンスロープ以下のモンスターなら大分余裕がありそうだ。俺達は受付のメィルにケルベロちゃんに報告してくるというと、いってらっしゃいと良い笑顔で返された。




メィルは受付があるから!と一緒に行くのを拒否した。そんなに行きたくないのか。そういうわけで、俺、弥生、ワルキューレ、アヌビスの4人でビジネスホテルに向かった。ワルキューレは女神だから柱と数えるのかもしれないが、めんどくさいので人で数える事とする。それをいったら分裂体の数え方も良く分からないしな!




ビジネスホテルに着くと、サーベラスがお出迎えしてくれた。




ア「むっ?少し奴らの匂いがするのじゃ。」




正確には、匂いと言うか、存在の残滓みたいなものらしいが。そして、サーベラスを追うようにケルベロちゃんも現れた。




ケ「おかえりなさいませワン。今日は早かったですワン?」




現れたケルベロちゃんにアヌビスは杖を向けそうになったので、即座に杖を取り上げて注意した。




レ「ランクⅢの女神様だ、死にたくなかったらおとなしくしてろ。」


ア「ランクと言うのはよくわからんが、おぬしの態度を見るに、ワルキューレより強い神じゃな?素直に従っておこう。それに、この犬も強いようじゃし。」




アヌビスの世界では他の神を見たことが無いらしく、ランクや神の種類も区別をしていなかったようだ。サーベラスとアヌビスはいい勝負になりそうだな。もしかして奴らの残滓って、サーベラスが食ったコアとかか?




ケ「おひとり様追加かワン?」


ワ「ケルベロ様、その前に話があります。」




ワルキューレはケルベロちゃんの前にひざまずくと、事の次第を話した。




ケ「とりあえず、再現しただけの存在なら問題ないと思うワン。何かあれば、このホテルにいる間はあたちが対処するワン。」




ケルベロちゃんの強さなら、万が一アヌビスが本来の力を取り戻して暴れても、一瞬で対処しそうだよな。サーベラスもいるしな。




ケ「それに、スキルの使用者が死ねばきっとコアに戻るワン。」




ケルベロちゃんはちらりと俺の方を見た。




レ「そ、そうか。じゃあ、アヌビスはこのまま連れているとして、部屋は空いているか?」


ア「我はおぬしと一緒の部屋でよいぞ。おぬしに死なれたら我も困るのでな?」




アヌビスは護衛をしてくれるらしい。ケルベロちゃんより強い敵が来ない限り、俺達が襲われることは無さそうだが、もしかしたらスキルか何かで誤魔化して入り込んでくる可能性もあるか。




レ「じゃあ、俺達は一緒の部屋でいいよ。」


ヤ「えっ、源さんって幼児趣味が・・?」


レ「誤解だよ!?今の話の流れだと護衛だってわかるよね!」


ヤ「冗談ですよ、冗談。さすがにそうだとは思っていませんよ。」




今後MPが増えて再現性があがったとして、妙齢の女性の姿になったときにどうするかという問題が増えた気がする。




とりあえず、昼飯にするか。一度全員101号室に集まり、食事を取ることにした。今回はパーティの様にピザ、フライドチキン、ポテトにコーラと子供の好きそうな物にした。




ア「この黄色いのはなんじゃ?おお、のびるのじゃー!こっちの黒い飲み物はなんじゃ?むぅ、しゅわしゅわする!毒か!」


ヤ「その伸びるのはチーズで、黒いのはコーラですよ。しゅわしゅわするのは炭酸だからです。」




弥生が子供の相手をするように、アヌビスに教えている。まあ、向こうの文化レベルじゃ良くてパンくらいしか無さそうだよな。




ア「おいしいのじゃー。我はずっとここに住む!」


レ「いや、長くて1か月・・あと3週間ほどで終わるぞ。」


ア「それはなぜじゃ?」




俺は今までの話をアヌビスにすると、アヌビスはふんふんと分かったようにうなづいた。




ア「ならば我も手伝おう。おぬしのスキルなのだから、問題はあるまい?」




アヌビスはワルキューレに向かってそういうと、




ワ「その判断は私にはできないが、私は極力手を出さないようにはしている。」




今回みたいなことが無い限りな、と付け加え、一緒に行動する事自体は拒否しないようだ。




レ「じゃあ、これからしばらくよろしくな。」


ヤ「よろしくお願いしますね?アヌビスちゃん!」


ア「よろしくなのじゃ!」




俺達はコーラで乾杯すると、昼飯を食べた。休憩を終えてダンジョンに再び向かう。受付をしていたメィルに、ケルベロちゃんは問題ないと言っていたことを伝える。




レ「ということで、アヌビスも一緒に行動することになった。」


メ「それはずる・・なのかな?元神で現在は分裂体?でも、ステータス自体は私よりも高いし・・。」




メィルは両手の人差し指をこめかみにあてて目をつぶり、うんうんと唸っている。最終的には、「ダンジョンに判断させます!」と判断を投げた。ずるならその階層のヌシが何とかすると。


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