第5話 アナザー

アナザー(とある4人組)


バンプー(見習い女神):HP9000、MP2000、攻撃力1000、防御力400、素早さ700、魔力300、スキル:千里眼、異世界召喚、蘇生、物理耐性(中)、魔法耐性(極小)、HP自動回復(中)、MP自動回復(小)、飛行、透過、転移魔法、空間魔法(2)、時空魔法、格闘術(5)




あたいは見習い女神のバンプー。見た目は とげとげの赤髪、赤目、身長185cm、いかつい赤い鎧姿、赤い手甲。女神の試験を受けている。




さっそく異世界からダンジョンをクリアできそうな人物を召喚しよう。む、秋葉原とかいうところに冒険者らしい恰好をしたやつらがいるじゃないか。丁度いい4人組まとめて召喚だ。




フ「ここはどこだ?」


ナ「拙者は確か秋葉原に居たはずでゴザルが。」


マ「テレビで見るお城みたいね?」


シ「お城でゲスか?イベントのセットでゲスか?」


バ「うるさいぞ、お前たち。ここはあたしの城だ。」




旅館の大広間の様に、畳が敷き詰められ、一段高くなった場所から赤い鎧を着た大女が声をかけてきた。俺たちは秋葉原で、あるイベントに参加しようとした単なる大学生のサークル仲間だ。




イベントの間は本名では呼ばず、ファイター、ナイト、マジシャン、シーフになりきろうと役作りをしている。ちなみに、ゴザルとか~ゲスはキャラづくりの一環で、文書にしても誰がしゃべっているか分かりやすくなるくらいの意味でしかない。リーダーは部長でファイターである俺だ。




バ「あたしはバンプーというものだ。お前たちにはダンジョンをクリアしてもらいたい。その為に呼んだのだ。」


フ「お前が言う事は全く理解できない。なんで俺たちをこんなところに連れてきた?」




俺は実感が無いが、よくある異世界物の可能性もあると、剣(見た目は派手だが紙製)を抜いて構えた。それにつられて仲間たちもナイフ(紙製)、ロッド(木製)、盾(強化プラスチック製)を構えた。




バ「そう構えなくてもいい、まだ敵はいないからな。これから何をするか説明してやる。」




俺たちは女神の試練の事、ダンジョンの内容、スキルについて説明を受けた。ちなみに、俺達にもスキルが与えられ、内容は、ファイター:剣術(1)、シーフ:投擲術(1)、ナイト:盾術(1)、マジシャン:火魔法(1)、水魔法(1)、木魔法(1)、土魔法(1)だった。マジシャンだけ種類多くないか?




俺たちははじまるのダンジョンと呼ばれる場所に連れてこられた。インターフォンでバンプーがいろいろやっている間に、俺たちはスキルの練習をして過ごしていた。




ラ「ようこそおいでくださいました。このダンジョンの受付をしておりますラヴィです。ダンジョンの説明役も兼ねております。」




ラヴィという女神から、詳しい説明を受け、さっそくダンジョンに入ってみることにした。ちなみに、バンプーは城に帰って待機をしているそうだ。ときどき千里眼で様子を見ると言っていた。直接手を出せない事になっているらしい。




ラ「それでは、第一ダンジョンは使用中ですので、こちらの第二ダンジョンをご使用下さい。内容につきましては全く一緒となっております。」




俺たちはトラップ発見としてシーフを先頭に、前衛にナイト、ファイター、後衛に、マジシャンの順に並んでダンジョンへ入っていった。戦闘になった場合はシーフには中衛もしくは後衛に入ってもらう。




ファイター(人間):HP30、MP10、攻撃力7、防御力3、素早さ5、魔力2、スキル:剣術(1)攻撃力1.1倍、装備:紙の剣攻撃力1




シーフ(人間):HP20、MP10、攻撃力5、防御力2、素早さ8、魔力3、スキル:投擲術(1)投擲ダメージ1.1倍、装備:紙のナイフ攻撃力1




ナイト(人間):HP50、MP10、攻撃力3、防御力8、素早さ3、魔力1、スキル:盾術(1)防御力1.1倍、装備:強化プラスチックの盾防御力3




マジシャン(人間):HP10、MP20、攻撃力1、防御力2、素早さ5、魔力10、スキル:火魔法(1)、水魔法(1)、木魔法(1)、土魔法(1)、装備:木の杖攻撃力1




4人は女神パワーにより、普通の人間よりも最初からステータスが高い。




フ「学校の廊下みたいだな。」


シ「そうでゲスね、罠のある床も色がついていて分かりやすいでゲス。」


ナ「気を抜かないほうがいいでござる。いつダンジョンに変化があるか分からないでゴザルぞ?」


マ「魔法使いになるのが夢だったの。見て、ファイアー!」




マジシャンは無駄に火魔法を唱えている。まだ火魔法(1)だからマッチ程度の火だ。射程短すぎだろ。あとで聞いた話だが、魔法名は特に無いらしいぞ。ファイアーと唱えるのはマジシャンの好みだ。




シ「あ、敵でゲス!ゴブリンでゲス!」




シーフは、慌ててナイトの後ろに隠れると、ナイフを構える。シーフを追いかけるように、ゴブリンが殴りかかってきたが、その間にナイトが立ちはだかる。




ナ「拙者に任せるでゴザル!」




ナイトの盾にゴブリンの爪が当たる。ナイトに0ダメージ。




マ「今よ!ストーンバレット!」




マジシャンは土魔法を唱えるが、小石が現れるだけで、飛ばない。




マ「これを使って!」




マジシャンはシーフに小石(攻撃力10)を渡すと、シーフはゴブリンに投擲した。ゴブリンに11ダメージ。ゴブリンは光の粒子になって消え、後には小さな水色のビー玉みたいなコアが残った。




フ「いい連携だったな!」




ファイターは良い笑顔でそういうが、何もしてないだろ!と誰も突っ込まなかった。まだ冒険は始まったばかりだ。




ナ「ふう、緊張して喉が渇いたでゴザル。」


マ「そうね、じゃあ、上を向いて口を開けてくれる?ウォーター!」




マジシャンの杖の先からコップ1杯程度の水がでて直接ナイトの口に入る。ナイトは大半をこぼしたが、一口分の水をごくりと飲み込んだ。




フ「ダンジョンに必須の水はこれで解決できそうだな!何か容器でもあれば貯めれるのだが。」


シ「俺っちは小腹が空いたでゲス。」




いや、まだ入って30分も経ってないぞ?もう戻るのか?




マ「それなら、もやし!」




マジシャンは木魔法を唱えると、地面から「もやし」が生えてきた。その「もやし」をシーフはつまんで食べる。




シ「確かにもやしでゲス。マジシャンの魔法は便利でゲスなぁ。」




きちんと食べられるらしい。一応食糧問題も解決か?俺は手にウォーターをもらい、飲んでみる。普通においしい水だ。




シーフの投擲用に小石を貯めようかと思ったが、しばらくしたら消えるようだ。戦闘のたびに作ってもらうしかないな。




こうして俺達は、ナイトの防御とマジシャンの小石、シーフの投擲で楽々ゴブリンを倒して行った。あれ?俺の出番が無い。


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