第12話 幼馴染の友達はビッチ

 宮本さんがどうやら僕に惚れているらしいと分かったことで、授業よりもどうデートに誘おうかとか、デートの後はどこでおっぱいを揉めばいいのかとかそんなことを考えていた。

 そうして授業終わり、また里見に廊下に誘われたが断った。


「僕の幼馴染は近いうちに紹介するよ。こっちの条件はまだ見つからないから、いざという時にお願いすると思う」


 里見にそう告げると、大げさなまでのガッツポーズを決めていた。

 そんなことよりも僕は授業中に気になったことを調べる。

 授業内容のことではない。ろくに聞いていなかったんだから。

 調べる内容は高校生はラブホテルを利用できるのか、だ。

 スマホで調べてみると、意外と簡単に答えが分かった。

 同じ疑問を抱く人は多いようだ。

 少し前までの自分ならリア充爆発しろと妬んだろうが、今や僕も爆発させられる側の人間である。


 さて調べた結果の答えは、利用できる。というものだった。

 ただし制服で行くのは駄目らしい。

 放課後に行くならば一度着替えなければいけない。休日デートなら問題なく入れるというわけだ。

 宮本さんは漫画やアニメが好きだから、本屋や家電量販店、アニメショップなんかのオタク的店巡りをすれば楽しめるだろう。あとは映画とかもデートの定番だし候補にいれよう。

 デートプランを立て始め、近場でデートに向いた場所をどこか検索しようとするとスマホが静香からのメッセージを受信した。


『昼休みに会おう。友達が純に会いたいんだって。可愛い子だよ。絶対来てね』


 そんな文面が無料コミュニケーションアプリの『CROSS』で送られてきた。

 次いで可愛いんだか可愛くないんだか微妙なキャラクターが目を潤ませているスタンプがポップアップする。

 このキャラを静香は好きなようで、新作が出るとすぐに買って連続で送ってくる、所謂いわゆるところの爆スタをしてくるから毎度イラッとさせられるのは別の話。問題は文面の方だ。


 会いたがっている可愛い子っていうのは、果たして信用していいものか。

 女子の可愛い程信用できないものはない。

 奴らは可愛くなくても、それどころかキモくても可愛いと

 確かに言われてみれば可愛いと感じる時もあるが、ほぼ可愛くないんだ。

 だが本当に可愛い場合があるので、要注意。

 折角の出会いを不意にするわけにもいかないので、こういう誘いの時はとりあえず従うべきだろう。


『ご飯を食べたら行くけど、どこに行けばいい?』

と返信した。

 すぐに既読が付いて、

『食堂!』

とのことなので、初めて学校の食堂に行くことに。

 ついでなので里見を連れて行けば先程の約束を果たせるなと、このことを伝えると「行く」と即答された。

 

 時間は進み、昼休み。

 宮本さんと藤沢さんとの食事を泣く泣く早々に済ませ、静香に会いに二人で食堂に向かう。

 食堂の場所は本校舎一階。トロフィーやらなんやらを飾ってある廊下を抜けた先にあった。

 長机や円形のテーブルが置かれ、昼休みも後半だが多くの生徒が利用していた。

 座って食事をしたり、食べ終わっている者は雑談に興じていたりする。

 静葉どこにいるのかと探していると、僕よりも先に里見が「あっ」と声を上げたのでその視線を追うと見つけることが出来た。

 写真で見ただけなのに、僕よりも早く探せるというロリの力の片鱗を無駄に見せつけられつつ、その場所へと向かった。


「純、こっちこっち」


 途中で静香も気付いて椅子から立ち上がり声を掛けて来た。

 こっちも気付いて近寄ってるんだからそんな大声で呼ばんでも聞こえるんだよ。

 そう突っ込んでやりたいところだが周りに人もいるので、これ以上叫ばないように手を振るに留め、気付いていることを知らせた。


「来てやったぞ」

「なんで偉そうなの」

「お前が呼んだから来てやったんだろ。貴重な昼休みに」

「可愛い女の子って部分に釣られただけでしょ」

「……んで、その肝心の可愛い子は?」

「今トイレに行ってる」

「そか。ん?」


 会話していると、上着の裾を引かれたのでなんだと思ったら、里見が何か伝えたそうな目で引っ張っていた。

 紹介しろってことだな。


「静香、お前に紹介したい奴がいるんだけど」

「誰?その後ろの人?」


 まあ一緒にいるんだから気付いてはいるよな。


「ああ。同じクラスの里見君」

「初めまして」

「初めまして。私は平松静香だよ。よろしくね」

「よろしく。良ければこれ。飴なんだけど」


 爽やかな笑顔で挨拶した里見が、どこからともなく飴を取り出して差し出した。

 お前ホントそれどっから出した。まさか幼女に出会った時用に常備してるのか?

 

「ありがとー」


 静香は何の疑いも無く受け取り、封を切って飴を口にした。


「お前良く出会ったばっかの奴から貰ったもん口にできるよな」

「んー?らって、ん、これ大きい」

「口ん中見せんなよ」


 飴玉が大きくて喋りづらいと、口を開けて飴玉を見せてくる静香。

 こいつは小さいからか、昔からお菓子とかを人に良く貰っていた。

 そのせいか躊躇わず口にしたようだが、世の中には悪い考えの奴がいるんだからもう少し警戒してもいいと思う。


「ん゛ふっ」


 変な音が横から聞こえて、見ると里見が膝を着いていた。


「どうした?」

「ごめん。なんでもないから」


 気持ち悪いニチャッとした笑みを浮かべてそう言った。

 なんだか分からんがキモいので放っておこう。

 そうこうしていると、

「あっ、戻ってきた」

と言って、静香が再度立ち上がって僕たちの後ろに向かって手を振った。

 件の可愛い友達が帰ってきたんだろう。


 振り返って見ると、グリーンアッシュに金色のメッシュをいれた髪色。シャツのボタンを第二まで開けてさせ、カーディガンを羽織って、規定よりもかなり短くしたスカートをはいたギャルがいた。

 日サロで焼いているのか色黒な彼女のおっぱいの谷間が見えていて、大変素晴らしけしからん。

 他の人も真似して欲しい格好である。

 そのサイズはDはある。

 メイクが濃いから何とも言えないが、メイクした顔は可愛い。


「ただいまー。なにシズってばナンパされてんの」

「違うってば。みーちゃんが呼んでって言ってた幼馴染」

「あー、んでどっちがそれ?」

「こっち。こっちが幼馴染の純で、隣が友達の……なんだっけ」

「里見です。里見幸大」

「だって」

「なんでそっちはしゃがんでんの」

「分かんない」

「ふーん」


 静香の隣の椅子に座り、こっちの顔をじろじろと見てくるみーちゃんとやら。

 いや自己紹介なり、静香も紹介するなりしろよ。

 ギャルも嫌いではないが、絡んだことがないので話しかけ辛いんだよ。


「ふっつーな顔だな。隣はイケメンっぽいけどボーズだし。びみょい」

「だから言ったじゃん。純は普通だよって」


 お前僕の事フツメンだって紹介してんのか。ちょっとはイケてるだろ。イケてるよな?


「マジでおっぱい好きなのな。ずっと見てくんだけど」


 おっと、見過ぎたか。

 視線を逸らして誤魔化す。


「流石はシズのおっぱい触るだけのことはあるわ」

「「!?」」

「なんで言うのー」

「わりー、つい」


 かなり強く裾が引かれる。見れば里見が悪鬼の形相で僕を睨んでいた。

 いや揉んだけどさ、全然無かったよ。喜びとか感動とか。

 だから睨むなよ。


「本当なのかい」

「まあ。だけど」

「僕は君を議題に挙げることにするよ。覚悟しておいて」


 そう言い残して里見が去って――行こうとして戻ってきた。


「CROSSの交換してもらえませんか」

「いいよ」


 気軽に教えてもらって嬉しそうにしてから、僕の横を過ぎ去るときに一睨みきかせてから去っていった。

 なんなんだまったく。


「どうしたんだろうね」

「さあ。それよりもその子のこと僕にも紹介しろよ」

「みーちゃんだよ」

「あだ名だろそれ」

柴美波しばみなみ。よろー」

「よろしくお願いします。ちなみにCROSSの交換は」

「別にいいけど」

「あっ、じゃあお願いします」

「ん」


 よっし。ギャルの連絡先ゲットだぜ。

 見た目的に性に関して緩そうだし、多分ビッチだ。

 簡単におっぱい揉ませてくれるかもしれないから、これは聞いておきたかったんだ。

 彼女が出来ても他のおっぱいを諦めない!


「じゃあ僕も戻るよ」

「うん。ばいばーい」


 最後にもう一回おっぱいの谷間を覗いてから立ち去る。

 眼福、眼福。


 教室に戻りながら、里見が言っていた議題とはなんなのかと疑問が浮かぶ。

 今日のあいつの言動には気になることが多かった。

 まあ考えて分からない。そのうち明らかになるだろう。

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