せきにんのおもさ

「どう? お姉さんも立つことが出来なかった役職から眺める景色は?」

 美沙先輩はワタシが副会長に当選したとわかってすぐ、あと数日間は美沙先輩の居場所である副会長の座席にワタシを無理矢理座らせました。

「物理的には何も変わりません。ただ、精神的には書記という役職よりも重い責任を感じます」

「不思議だよね。生徒会という組織が抱える責任はみんな平等なはずなのに」

「美沙先輩は何度も体験してきたのですね」

「うん。結局生徒会長の責任は抱えることが出来ずに終わってしまったけれどね。きっと、美沙が今まで抱えてきた責任を合わせても生徒会長が抱える責任の重さには及ばないと思う。抱えた事は無いからわからないけど」

 美沙先輩はそう告げると、ワタシの肩を優しく掴みジッとワタシの瞳を見つめました。

「これはナナちゃんにも伝えたけれど、ナナちゃんが困った時には笑舞ちゃんが支えてあげてね。そして、笑舞ちゃんが困った時にはナナちゃんに支えてもらって。そうやって二人で支え合えば抱える責任は平等になるはずだから。そうやって、これから決まる会計や一年生の副会長、書記の子とも支え合って本当の意味で平等な生徒会を作って」

「はい。美沙先輩の想いはしっかりと受け取らせていただきました」



生徒会議事録

 明日はついに会計の発表かぁ! 誰になるのかな! 柚鈴

 はっきり言って今回の選挙は誰が会計になるか読めないわね。 明日香

 会計の出馬数は過去最多でしたからね。 七海

 柚鈴に出来るなら自分にもできるとでも思われたのか? 芹沢

 あまり考えたくは無いですがその可能性は高いですね。二年生より下の学年は柚鈴さんの数学の成績が飛び抜けていることは知らない人が多いですから。 小雨

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