おもいおもい
「きっと、君が来るって信じていたよ!」
「そう思って頂けていたのなら光栄です。多分、これのおかげかな」
オレはそう言ってずっと胸ポケットに忍ばせていた必勝守りを見つめ、オレこと倉敷颯を生徒会会計という役職に導いてくれた勝利の女神へ感謝の念を送った。
「ワタシの目の前で笑舞ちゃんのこと考えないで貰えるかな!」
「そ、そんな事は」
「あるよね!」
「は、はい。思っていました。すいません」
そう言って謝罪をすると、柚鈴先輩はドッと笑いながらオレの肩をバシバシと叩いてきた。正直痛かった。
「正直ね、ワタシからハヤテンに直接教えられるような事って無いから……!」
「ちょ、ちょっと待ってください。ハヤテンってオレの事ですか?」
「そうだよ!」
「まぁ、そうですよね。オレ以外に居ないですよね。続けてください」
「教えられる事は無いから、ミササに手伝ってもってこんなものを作ってみました!」
柚鈴先輩はそう言うと、辞書ほどの分厚さの冊子を渡してきた。
「重っ!」
「ワタシは暗算で出来るけど、ハヤテンにはちょっとだけ難しいと思うから、ワタシがこの一年で計算した計算式を途中計算も含めて書いておいたから利用してね!」
嬉しいような、嬉しくはないような複雑な思いを抱きながらその冊子を開いてみると、嫌になるほどの数字が羅列してありましたが、美沙先輩が協力してくれていたおかげで分かりやすくまとめられているように見えた。
「えっと、ありがたく使わせていただきます。主に筋トレ用として」
推定十キロはありそうなこの冊子は恐らく生徒会室に置いていくことになるだろうと思いながら物理的に重い思いを頂いた。
生徒会議事録
笑舞ちゃん的には嬉しいでしょ? 美紗
嬉しいですが、颯ならきっと受かると信じていましたから。 笑舞
笑舞と颯のその関係、少し羨ましく思うよ。 芹沢
わかります! 七海
海もそのようなことを羨ましく思うのね。 明日香
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