なないろにそめあげろ

 生徒会長に当選してから初めて訪れる生徒会室の前で現生徒会長である海先輩と目が合ったナナは、右手の拳を海先輩の拳と上下に二度叩き合い、最後にお互いの右手を開いてパンとタッチしました。

「ナナ色に染め上げろ、七海」

「今のは、ナナの名前と七色をかけた非常に面白いギャグですね?」

「その通りだけど、ギャグを説明しないでくれ!」

 そう言った海先輩でしたが、ナナと交わしたまるで台本でもあるかのようなやり取りを心の底から楽しんでいるようでした。

「七海、申し訳ないがもう少しだけ付き合ってもらうぞ」

「良いですよ。十分間だけ付き合ってあげましょう」

 ナナがそう返答すると、海先輩は事前に後ろに用意していた机に置いてあったリボンで飾られた箱を手に取りました。

「ハッピーバースデイ! 新しい生徒会長の誕生だ」

 海先輩が箱を開けると、箱の中からは『生徒会長就任おめでとう』と書かれたチョコプレートとナナの顔写真が載ったウルトラなカードが乗せられたホールケーキが現れました。

「海先輩、これって手作りですか?」

「ケーキもカードも料理部や報道部の力は借りたが、手作りだ」

 女の子としてはクオリティが高すぎるホールケーキの話をするべきなのでしょうが、特撮好きとしてはとあるウルトラな玩具にアクセス出来そうなカードに好奇心がブルンブルンでした。

「うわぁ!? クオリティ高いですね」

「何を渡すべきか悩んだが、喜んでもらえたなら良かったよ」

 きっと明日香先輩が知ったら小一時間ほど海先輩をお説教するようなプレゼントでしたが、ナナにとっては好きがてんこ盛りのサプライズで心が躍りました。



生徒会議事録

 ナナちゃん、改めて生徒会長就任おめでとう。 美紗

 一年前は信じられなかったけれど、今は心からあなたほど生徒会長に相応しい人物はいないと思うわ。特に今の生徒会長よりは。 明日香

 明日は副会長の発表だね! 気が早いけどおめでとう! 柚鈴

 本当に気が早いですね。 笑舞

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