ふたりだけのかいもの
「はぁ」
登校してきた颯は席に着くなり大きな溜息を吐きました。
「大きな溜息ですが、何かありましたか?」
「いつも履いてきている靴に穴が開いてしまってな」
「いつものと言うと、颯のお気に入りの靴ですよね?」
「まぁ、長いこと履いていたやつだし寿命だったのかもな」
乾いた笑いで誤魔化しているつもりの颯でしたが、光が失われた瞳を見ればそれが本心では無いことくらいすぐにわかってしまいました。
「はぁ」
「全然平気そうではないですね」
「そんなことは……」
ありました。だからこそワタシは、
「颯のスマートフォンお借りしても良いですか?」
「えっ? まぁ、良いけど」
颯からあっさりとスマートフォンを借りて男子バスケットボール部のメッセージグループに颯を装って休みの連絡を入れました。
「お返しします」
「おう。って、何で休みの連絡を?」
「ワタシも今日は生徒会をお休みしますので、放課後に靴を買いに行きましょう。そのような悲しい顔をする颯をこれ以上見たくありませんから」
その後、ワタシは生徒会に欠席の連絡を入れて放課後に颯の靴を買いに行くことになりました。
明日香 「独断で笑舞さんの欠席を承諾するのは」
明日香 「いかがなものかと思うのだけれど」
海 「無断欠席ならまだしも」
海 「笑舞は理由を説明して欠席を申し出てきた」
海 「断る必要はないはずだ」
明日香 「笑舞さんだって仕事があったはずだけれど?」
海 「笑舞の仕事なら俺が引き継いでおいた」
海 「明日以降の業務にも支障はない」
海 「問題ないだろ?」
明日香 「立派な生徒会長ですこと」
海 「褒め言葉として受け取るよ」
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