ゆずりのさんしゃこんだん
「ここだけの話として聞いて欲しいのですが……」
三者懇談を始めて四十五分、お母さんと南帆ちゃん先生と一緒に進路について語り合っていると、南帆ちゃん先生がそう言いました。
「正直な話をさせていただくと、私は柚鈴さんがここまで成績を伸ばすとは思っていませんでした。生徒会選挙に立候補して生徒会会計となって私は柚鈴さんの成績がこのまま下がっていくだろうと思ってしまいました」
申し訳なさそうにそう告げる南帆ちゃん先生にお母さんは、
「私もです~」
なんて言いながら同意していました。
「でも、柚鈴さんは私の予想を良い意味で裏切ってくれました」
「ミササさんですよね? 娘から話は聞いています」
「はい。教師として悔しい気持ちはありますが、彼女には私自身も感謝しています」
「南帆ちゃん先生、それは違うよ!」
南帆ちゃん先生があまりにも自分の評価を落とすような言い方をするので、ワタシはつい声を荒げてしまいました。
「確かにミササはワタシに勉強をいっぱい教えてくれたけど、南帆ちゃん先生だってワタシのことを心配していっぱいプリントを用意してくれたでしょ! だから、ミササだけがワタシの恩人じゃないよ!」
ワタシは胸に沸いてきた思いを南帆ちゃん先生にぶつけました。
生徒会議事録
南帆ちゃん先輩が涙を拭っていたのですが、皆さん何かご存じないですか? 小雨
目にゴミでも入っていたのでは? 笑舞
南帆先生が学校で涙を流す理由なんてそれくらいだよな。 芹沢
南帆先生を何だと思っているの? まぁ、それしか理由は考えられないというのは同意するけれど。 明日香
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