みさのさんしゃこんだん

「まだ残っていたんだ」

 生徒会室の戸締りを確認しに来ると、海が生徒会室に残っていました。

「よぉ、どうした? 三者懇談じゃなかったのか?」

「美沙はさっき終わったよ。海は?」

「俺はこれから」

「え?」

 美沙はそう声を漏らして、ふと窓の外を見ました。そこではついさっきまで美沙たちと三者懇談を行っていた3年3組担任の悠木清先生が愛車に乗って帰路へ着こうとしていました。

「清ちゃん先生、今日は美沙が最後って言っていたけど」

「理由あって、南帆先生にお願いしたんだ」

「理由?」

 わざわざ聞くような事ではないとは思いましたが、つい気になってしまって口が滑ってしまいました。

「南帆先生が父さんと母さんの教え子らしくて」

「そうなの? 聞いたこと無いけど」

「俺も詳しくは知らないけど、二人がまだ今ほど忙しくない時代に出会ったらしい」

「そうなんだぁ、意外と世間は狭いね」

「全くだな」

 海とそんな話をしている間に、玄関で待たせてしまっていたママから催促の電話が何度もかかってきていました。

「ママを待たせているから、ごめんねだけど先に帰るね」

「戸締りはしておくから安心して帰って良いぞ」

「よろしくね」

 海に別れを告げた美沙はママに『すぐ行く』とメッセージを送って、全力全開超えて超全開で玄関へ向かいました。




海  「夜分にすまない」

海  「進路、決めたよ」

美沙 「どこにするの?」

海  「千景先輩と同じ大学」

海  「つまり……」

美沙 「美沙と同じ所?」

海  「そういうことになる」

海  「だから、受験勉強一緒に頑張ろうな」

美沙 「遠まわしに家庭教師のお願いだよね」

美沙 「良いけどさ」

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