さどうぶ
「お疲れ様です。茶道部ですけど、試飲お願いできますか?」
珍しくナナと海先輩だけの生徒会室に飛行機の中でキャビンアテンダントさんが使っているようなカートを押した茶道部の部長である狭山綾先輩がやってきました。
「あれ? 今日は芹沢くんと初島くんだけなの?」
「体育祭、文化祭関連の仕事で留守にしている」
「そうなんだ。でもいいや。美沙くんと明日香くんには頼みにくいことだったし。それで、試飲お願いしても良いかな?」
「俺は構わないよ」
「ナナもお力になれるのなら協力します」
「ありがとう。文化祭の出店に出すお茶を選んでいたんだけど、決めかねていたから意見を貰おうと思っていたんだぁ」
狭山先輩がお茶を用意してくれている間にナナは自分の引き出しの中にしまってあるお菓子ケースの中からお茶に合いそうな和菓子を選んで取り出しました。
「はい、お待たせ。ストレートでも甘いやつだからまずはそのまま飲んでみて」
茶道部の狭山先輩がナナたちに用意してくれたお茶は抹茶でもなければ、緑茶でもなくチョコレートのような甘い香り漂う紅茶でした。
「紅茶なのか? 茶道部なのに」
海先輩もナナと同じく抹茶か緑茶を出されるものだと思っていたみたいで、狭山先輩にそう問いかけていました。
「芹沢くん……茶の道は日本茶のオンステージじゃ無いのだよ!」
狭山先輩はおよそ七年位前の日曜朝に聞いた決め台詞に似た言い回しでそう告げました。
「言われてみれば、そうですよね」
「確かに、先入観で物事を考えていた俺が悪いな。それにしても、この紅茶美味いな」
「そうでしょ? そうでしょ? 次はこっちを試飲して」
結局ナナたちは狭山先輩が持ってきた十数種類の紅茶を試飲して特に美味しいと感じた三種類をそれぞれ狭山先輩にお伝えしました。
生徒会議事録
綾ちゃんの紅茶美味しかった? 美沙
流石茶道部だな。紅茶の淹れ方も上手かった。 芹沢
私と美沙は緑茶を試飲させてもらったけれど、あんなに美味しい緑茶は初めて飲んだわ。 明日香
ワタシと笑舞ちゃんは中国茶を貰ったよ! 柚鈴
こちらもとても美味しいお茶でした。 笑舞
茶の道を究めているだけありますよね。 七海
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