せいげん

「そういう事だから、理解してもらえるか?」

「わかりました。お忙しいのに丁寧にご説明いただきありがとうございます。お手数ですが、深宮体育会実行委員長に今の内容を各部に報告するようお伝えいただけますでしょうか?」

「わかった。早急に伝えておく」

「ありがとうございます。失礼致しました」

 報道部を通して今朝発表された、来月の体育祭で柚鈴先輩の参加に制限をかけるという件に関して水泳部の部長である涌井わくい先輩に説明した会長は小さな溜息を吐きました。

「説明はこれで間違っていないよな?」

「うぅ。助かったっす」

 涌井先輩が来る随分と前から生徒会室に来ていた体育祭実行委員会の委員長で柚鈴先輩の体育祭に制限をかけると発表した張本人である深宮奏先輩は潜んでいた給湯室から出てくると会長に何度も頭を下げていました。

「あたしだって各部が体育祭で勝利したい気持ちはわかるっすよ。でも、柚鈴さんがいたら勝負にならないのは目に見えているじゃないっすか」

 それは決して柚鈴先輩がいたら戦力が極端に落ちてしまうからという意味ではないという事は生徒会室に居る全員が理解していました。例え試合相手がだったとしても。

「で、でも、柚鈴先輩だったら制限を掛けてもプロの選手を圧倒してしまうような……」

「そんなこと無いでしょ。とは言い切れないのが柚鈴先輩なのよね」

「そこが問題っす!」

「去年はユズリンが助っ人した種目は全部プロに圧勝だったからね」

「この後、会見で柚鈴さんには強い制限をかけるって説明しなきゃいけないっすけど……会長代わってもらえないっすか?」

「断る」

 ワタシも同じ質問が投げかけられたとしたら、会長同様に即答しただろうなと感じました。



生徒会議事録

 なんだかんだ言って会見に参加しちゃう海のこと美沙は好きだよ。 美沙

 え、えぇ~!? 七海

 ちょ、ちょっと美沙? 明日香

 ミササ大胆だね! 柚鈴

 LOVEではなくLIKEの方なのでは? 笑舞

 友達としてだろ。七海と明日香はどうしてそこまで慌てているんだ? 芹沢

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