こころからのねがい
「いいか、この条件だけは絶対に守ってくれよ!」
「守ることが出来なかった場合、生徒会の権限で即刻営業を中止させるから!」
生徒会室に入ると会長と明日香先輩が紗綾先輩を壁際に追い込んで今迄に聞いたことが無いほど強い口調でそう言っている光景が目に映りました。
「ナナ、これはどういう状況なの?」
「えっとね、紗綾先輩が文化祭の出店届を出しに来たんだけど、そのお店が飲食店みたいで……」
「なるほど。何となくだけれど話の流れは読めた気がする」
ワタシは席について会長たちの会話に耳を傾けました。
「もう一度だけ言うぞ。グランピング部が申請したキャンプ飯を提供する出店の出店届と火気使用届は承認する。俺たちも繁盛することを心から願っている」
「ただ、承認する条件として……紗綾、あなたは絶対に調理に参加しないで。というか、文化祭当日は校内を巡って文化祭を楽しむこと。それが守れなければグランピング部の出店は即刻営業中止。わかったかしら?」
「わかったけど~ 私一人で文化祭巡りは寂しいな~」
「……明日香、一緒に巡ってやれ」
「仕方が無いわね」
明日香先輩がそう言うと、ワタシの左隣……つまりナナの席から拳を握り締める音と、
「やった」
という小さな声が聞こえたような気がしました。
「もう、海くんもあ~ちゃんも心配性だな。絶対守るから安心して。これは別件だけど、あ~ちゃん明後日の家事セミナーよろしく~」
「はぁ? ……はぁ!?」
明日香先輩が紗綾先輩の発言の意味を理解するよりも早く紗綾先輩は生徒会室を後にしました。
生徒会議事録
アッスー、明後日の家事セミナーは何やるの? 柚鈴
私は講師では無いのだけれど。 明日香
でも、紗綾ちゃんと南帆ちゃん先生だけだと不安だから見に行ってね。 美沙
私からもお願い致します。 小雨
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